本号はちょっと寄り道をして最近良くニュースで目にする言葉で「副業元年」について私見を述べたいと思う。

それによると副業を認める企業が23%近くになったと報じていた。ITメディア系企業は無論のこと、ロート製薬、ユニチャーム、コニカミノルタ、丸紅、新生銀行、日産自動車、アサヒホールディングスなど、名だたる大企業も副業を承認している。無論、本業ありきの副業承認なので、様々なガイドラインが示されるのであろう。しかし、世はまさに【大副業時代】の到来である。

この背景には伸び悩む賃金、少子高齢化に伴う働き手不足などが背景にある。また、政府が打ち出した「働き方革命」では税収確保を軸に副業を推進する方向で、モデル就業規則から副業禁止が削除され、副業・兼業の促進に関するガイドラインが提示された。また、現在論議されている「外国人労働者受け入れ」議論もこれを受けての政策である。終身雇用を約束されたと思っていたサラリーマン諸氏は戸惑うばかりであろう

話は逸れるが、先日電車に乗っていた時の話である。丁度通勤時間帯で、車内は混み合っていた。新聞を読む方は少なく、スマホ片手にゲームに興じていたり、音楽やドラマを楽しんでいる方が多い。大きなターミナル駅を過ぎて、空席が出来たため、筆者も座ってインターネットで調べ物をしていた。隣にいた女性が席を立ち、空いた席に身体の大きなネクタイ姿の50代男性が腰を下ろそうとした。満員電車で苛立ちが有ったとは言え、狭いスペースに大きな身体をぐいぐいとねじ込み、両側に座っている方を睨み付け、「詰めろよ!」と言わんばかりの態度である。満員の通勤電車に揺られて、組織の不条理を飲み込んで、部下や上司・取引先からの厳しい条件に晒される中間管理職なのかもしれない。一瞬怒りを覚えたが、かつて筆者が給与所得者であった時もこんな横柄な態度を他人に取っていたかも知れないと反省した。

会社では上級管理職に名を連ね、比較的高い年収を得、外車に乗って、会社のお金で会員制のレストランで取引先と会食し、カンパニーカードで支払をする。ブランド物の腕時計を見につけ、スーツはオーダーメード。すべて自分が積み重ねてきた結果なのだと奢り高ぶって生きていた時代がある。サラリーマンを卒業して、事業を起こした時に、全ては会社が与えてくれた物であり、今は何もない自分に愕然とし、愚かな自分に辟易とした事を覚えている。政府や寛容な会社が副業を奨励する事は社会情勢の打開策であり、大きな進歩ではあるが、長年一企業の文化や慣習にどっぷりと浸かった方がその矜持に蓋をして、別の組織で労働する副業は簡単なことではないだろう。別の選択肢として、個人事業を興す覚悟が有るなら、定年を待たずに行動を起こすことをお勧めしたい。

理由① 個人事業や副業は今までの経験や人脈を生かせる立案・検証・事業計画の策定・資金の確保を行い、

開業にこぎつけるには継続的かつ大きなエネルギーが必要

理由② 軌道に乗れば、サラリーマン時代の所得を凌駕する収入と、圧倒的に自由な時間が手に入れられる

理由③ 定年がない。年金支給額を気にしない自立した生活が望める

自身にとっての「大副業時代」を見つめるいい機会かもしれない。

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