前号では昭和→平成の労働環境の変化についてお話してきました。
今回は厚労省の「働き方未来2035」懇親会の政策提言書(抜粋・要約)をもとに、私たちの働き方の変化や生活環境の変化を読んで、どのように生活を守っていくのかに関して触れたいと思います。
まず、上記懇談会での提言を抜粋してお伝えします。
【長時間労働について】
同じ空間で同時刻に共同作業する事が不可欠だった時代は、そこに実際にいる「時間」が評価指標の中心だった。
だが、時間や空間にしばられない働き方への変化をスムーズに行うためには、成果による評価が一段と重要になる。
その結果、不必要な長時間労働はなくなり、かつ、是正に向けた施策がとられるようになる。
【会社との関係】
空間と時間を共有することが重要であった時代は、企業は一つの国家やコミュニティのような存在であったが、2035年の企業は、ミッションや目的が明確なプロジェクトの塊となる。
プロジェクトの期間が終了すれば、別の企業に移動する形になっていく。
その結果、企業に属する期間の長短や雇用保証の有無等によって「正社員」や「非正規社員」と区別することは意味を持たない。
兼業や副業は当たり前になる。一つの会社に頼り切る必要もなくなるため、不当な働き方や報酬の押し付けを減らせる。
【働きがい】
「働く」ことが単にお金を得るためでなく、社会貢献や地域との共生など、多様な目的をもって行動することができる社会になる。
それぞれが自分の得意なことを発揮でき、自立した個人が自律的に多様なスタイルで「働く」ことが求められる。
そのために、必要な能力開発や教育が、どの世代に対しても十分に行われ、社会貢献も含め、多様な自己実現の場が提供される。
【セーフティーネット】
2035年では個人が、企業や経営者との対等な契約で、自律的に活動できる社会に大きく変わる。
セーフティーネットの基本は、キャリアアップ、キャリアチェンジのための充実した職業教育である。
セーフティーネットは、最終的に国が責任をもって提供するとしても、民間の創意工夫による適切な保険の提供という形で提供されることが望ましい。
【自立した個人】
自立した個人が積極的に活躍できる社会では、教育の在り方のも早急に見直される。
自立するための教育とは、「好きで得意な道選び」を実現するための教育である。
と予想しています。
ピンとこない点もあるかもしれませんが、すくなくとも、人々の生活を豊かにする会社や商品・サービスだけが生き残っていく事は間違いがなさそうです。また、会社にコミットする生き方から、仕事にコミットして自身のスキルを高めていく準備が必要な時代に変化しています。
今後は更にそのニーズは高まると思います。
また、セーフティーネットは国に頼ることができなくなる予測です。
個人生活におけるセーフティーネットの最もたる物といえば「年金」ですね。言い換えれば自分の生活は国から与えられるものでなく、自分で創出するものに大きく変化します。
2035年といえば、16年後のことであり、現役の労働者はもちろん、100年構想を前提にすれば現在80歳の方々も含まれます。
少しずつではありますが、社会の変化をとらえて、今から準備を始めてはいかがでしょうか。