少子化で労働力が不足する中、女性活躍や外国人活用とともに期待されているのがシニア人材の活用です。

「公的年金だけでは老後に2000万円不足する」とした金融庁の報告書に不安が募り、収入維持のためにも長く働き続けたいと考えた人も少なくないのではないでしょうか。

すでに国は高年齢者雇用安定法で、企業に65歳までの雇用機会確保を義務づけていますが、厚生労働省の調べでは、65歳以上のシニア人材雇用については、現状では大企業の約2割しか制度を導入していないという結果です。

そこで国は成長戦略で、企業に70歳までの雇用機会確保の努力を課す方針を掲げ、義務化も視野に入れていますが、官民の間では隔たりが大きいようです。

つまり、国がいくら企業にシニア雇用を促しても、戦力として活用できるかは別問題なのです。

とくに課題となるのが、1つの企業で複数の部署を渡り歩いてきたゼネラリスト型人材。

先日シニア80名を雇用した人材派遣会社パソナが話題になりましたが、ほんの一部に過ぎず、シニアの雇用には課題が多い様です。

この実態をみて、「楢山節考」(ならやまぶしこう)という映画を思い出します。

山深い貧しい部落の因習に従い、年老いた母を背板に乗せて真冬の楢山へ捨てにゆく物語。

簡単に言えば、「口減らし」のために老婆を山に捨てに行く物語です。

現在の高齢者の雇用と重なってしまいます。

多くの企業では定年後の雇用延長制度がありますが、再雇用されても、実質的には閑職に追い込まれ、モチベーション低下やポスト不足といった課題が生じることが浮き彫りとなっています。

「定年後の再雇用は年金支給までの空白期間を埋めるもの。

企業は本音ではやりたくないはず」。ある大手企業OB談です。

「大半の同僚が再雇用を選んだが、パソコンの前に座るだけで、やることがないと嘆いている」と言う声も多く寄せられます。

また雇用の不安定さは、今やシニアだけの問題ではありません。

今年に入って、大企業による早期・希望退職の募集が相次いでいます。

東芝は1060人、コカ・コーラ ボトラーズジャパンホールディングスは700人を募集。富士通は募集人員を定めていませんでしたが、2850人が応募しました。

企業経営者の希望退職の狙いはただ1つです。固定費となる人件費・労務費の削減です。

ターゲットとなるのは生産性が低く・給与が高い社員=シニア世代です。

しかし応募するのは、他社に再就職可能世代で、会社の運営の中核を担っている人材と言う皮肉な状況が一般的です。

経営サイドの見解では

「働き手の就労期間の延長が見込まれる中で、終身雇用を前提に企業運営、事業活動を考えることには限界がきている」(経団連の中西宏明会長)。

「雇用を続ける企業などへのインセンティブがもう少し出てこないと、終身雇用を守っていくのは難しい局面に入ってきた」(トヨタ自動車の豊田章男社長)

とコメントしています。

財界のトップがそう話すとおり、もはや終身雇用制度が大きな転換点を迎えていることは、多くのビジネスパーソンが実感しているとおもいます。

そうした中、個人に求められるのは、企業側の変化に期待することよりも、むしろ長く働き続けるための個人としての準備と人生キャリアを生かした独立開業です。

いくら会社に貢献してきた自負が有っても、会社の事業戦略は変化し、過去の功績は風化します。

雇用延長をしても生きがいを失い半減された給与のなかで、虚ろな時間を過ごすことを考えれば、気力を失う前に、新たな道を見つけ、自身を鼓舞しながら自身の価値の再発見をする道もあります。

「個人売買.com」では、30代から60代の方々が独立開業し、自由な時間と収入の機会を得て、生き生きと生活を楽しんでいます。殆どの方が異業種からの独立開業です。

是非、事業説明会にご参加頂き、将来設計にお役立てください。