日本が誇る「メイド・イン・ジャパン」は、かつて世界を席巻し、日本人の物に対するこだわりの姿勢やきめの細かな設計は世界中に支持されてきました。

今でも伝統工芸などの技法などに魅了され、多くの外国人がその世界に身を置く方が増えているのも事実です。

しかし、ちょっと周りを見回してみますと家庭内でもグローバル化が起きていることに気が付くと思います。

かつて民主党政権時に各省庁の予算申請の復活交渉を公開した際に日本の科学技術は2番目ではいけないのですか?

と質問したシーンを覚えている方がいると思います。

あれから10年の後、世界の勢力図は大きく変化しました。

例えば日本メーカーが一時代を築いた家電では、中国のハイアールやグリー、韓国のLGやサムスンが世界の主役の座を奪っています。

スマートスピーカーに代表されるスマート家電の分野では、前述のメーカー群に加え、アメリカのGAFA、中国のBATやシャオミなどが攻勢をかけています。

シャンプーや洗剤といった一般消費財の分野では、アメリカのP&GやJ&J、イギリスとオランダのユニリーバがしのぎを削り合っています。街中で目にする自動車ではさすがに日本も一矢を報いていて、トヨタや日産、ホンダも見かけられますが、それは燃費性能の良さからライドシェア・サービスに採用されたであろう中古車が目立つ印象です。

「安くて高品質」という日本製品のかつての評価は、いまやそっくりそのまま中国や韓国、アメリカのものになっています。

日本製品は「余計な機能が多くて割高」「過剰品質」と揶揄され、苦境に立たされているのが現状といえます。

自動車を例にとりますと、日本車の性能は多くの「あったらいいな」がそろっています。

適度な遊びのステアリング、心地の良い硬さのサスペンション、低年式・高走行でも壊れにくい設計、室内の掃除のしやすさなど、まさに日本人の細やかさの象徴と言えます。

一方、輸入車は個性的な」デザイン・機能が魅力ですが、よく壊れる。

掃除もしにくいなど不都合はあれど、魅力があるのはなぜなのでしょうか?

「不完全で粗削りな魅力」に惹かれるのかもしれません。

これらの変化は、日本のものづくりが変わってしまったと言うよりも、「変われなかった」点にあります。

日本のものづくりは、昔から変わらず今でも完璧主義で妥協がない。

しかし、追い求める「完璧さ」が世界のトレンドとズレてしまっていると言われています。

日本では、あらゆるビジネスにおいて「最初から完璧」が目指されます。

ただし、ここで目指されるのは「減点型の完璧さ」です。尖ったビジネスアイデアの、新しくておもしろいが、リスクや穴のある要素は、早期に取り除かれやすいのが実情です。

魅力的に発展しうる要素を切り捨て、安全・無難で、これまでの延長線上の少し先にあるような、小さくまとまった新商品に仕上げられていきます。

開発・プロモーション・販売も前例に基づき、慎重に、長い時間と労力をかけて完璧なプランで新商品をリリースします。

緻密なプランに縛られ、最初の市場の反応が良くても悪くても、それが予想と異なっていたときにすばやい軌道修正を行うことは難しくなります。

このように、おもしろいが危うく伸びそうな「価値の枝葉」を早期に取り除き、じっくり時間をかけて、きれいで小さなプロダクトへ磨き上げるのが日本の得意とする「減点型の完璧主義」です。

ここでは、完璧に完成された1つのプロダクトをつくって、広めることがビジネスのゴールとなります。

これはかつてのメイド・イン・ジャパンを支えた強みでしたが、近年における世界のトレンドからは逆行するものになってしまいました。

いま世界で勝ち上がっているのは、「加点型の完璧主義」です。

こちらでは、おもしろいアイデアが出てきたら、できる限り早くMVP(Minimum Valuable Product)に仕上げてリリースします。

MVPとは、「最低限の価値を持った商品」を意味します。

それを一度リリースしてみて、まずは市場の反応を見る。

そして販売と並行して、市場の反応がよかった要素をさらに伸ばし、悪かった要素は優先的に改善してバージョンアップしていく。

このサイクルをライバルよりも高速で実現できるか否かが勝負を分けます。

少し皮肉な表現ですが、シリコンバレーでは、「最初のプロダクトが恥ずかしいものでないなら、それはリリースが遅すぎた証拠」とまで言われます。

「加点型の完璧主義」では、尖ったアイデアを加点で評価し、その枝葉を活かしてプロダクトの価値を最大限に高めることを目指すため、尖った要素を完璧に仕上げる理想形の「加点型の長期目標」が設定されます。

この長期目標は、プロセスに応じて、修正・更新ができるものです。

それとは別に、短サイクルで回す短期目標も設けられ、これに基づき、いち早くMVPをリリースしていく。

そうして、市場の反応に対して迅速・柔軟に軌道修正を行いつつ、バージョンアップを重ねます。

あるいは、初期の反応が悪ければMVPの段階で撤退することもできます。

「最も効果的な市場調査とは、実際にリリースしてみること」という今までの日本人の物作りのポリシーから考えれば、「無責任」と言われるような手法です。

そして短サイクルに合わせ、開発とプロモーション、流通、販売、リサーチなどが連動していく。このサイクルを重ねた先に、理想として思い描く「完璧なプロダクト」が実現されていきます。

つまり、日本も世界のトレンドも「完璧」を目指してはいますが、完璧さの種類が異なります。

日本では、1つのプロダクトに時間をかけ、器の中の「盆栽」のように、減点型のミニマムな完璧をつくって広めようとします。

それに対して世界のトレンドは、完璧を目指すまでに、いくつものプロダクトをつくり、高速に発売・改良・バージョンアップを繰り返し、大地に根を張る「大木」のように加点型のマキシマムな完璧をつくって広めようとします。

身近な例ではi-phoneです。

このように、「海外のものづくりは雑」「特に中国はいい加減」という認識は、短サイクルで回す加点型の短期目標の一部分を切り取った近視眼的な解釈にすぎないといえます。

大局で見れば、減点型では目指すことができない新しく大きな価値を、加点型は実現することができるわけです。

「中国は粗悪で速いだけだが、日本は緻密で慎重な完璧主義だ」と考え、それをよしとする認識は、もう改めなければならないようです。

緻密で慎重な、減点型の完璧主義で、メイド・イン・ジャパンは世界で敗れているのだから。

もちろん、製品ジャンルによってMVPとして求められる「最低限の価値」は異なり、日本の得意とする減点型が強みとして有効な分野も存在しています。

自動車は、いずれ電気自動車が主流となり、同時にスマート化を進め、自動運転のカテゴリーが確立されます。

そうしたなかで、日本のものづくりが世界で再び勝ち上がっていくためには、「加点型の完璧主義」を取り入れて、今までの技術・勤勉さ・思いやりの心を調和させることでより高次元な「ものつくり日本」を実現できるのではないかと思います。

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