いきなり重い話題で恐縮ですが、昨日NHKの番組で「同居孤独死」が取り上げられていました。
父と息子の同居において、当初は関係がうまくいっていても、息子の仕事が忙しく、仕事のストレスが重なり父親の変化に気が付かない状態の中で、孤独死していた父親を放置して起訴されたというものです。
家族の関わり合い方の難しさが浮き彫りになった事件です。
このような同居孤独死は昨年280件以上も報告あれています。人生100年時代を迎え、自立した楽しい老後を過ごすにはどのようにしたらいいのかが問われています。
そこで今回は定年を控えた方、定年して漫然と日々を送っている方々にとってどのような行動によって充実感を得られるのかを「定年の教科書」–福岡武彦 長尾義弘著を参考にお話ししたいと思います。
まず、定年後は「よい人間関係」をつくることが、幸せで健康な老後を過ごすための秘訣です。
ここで、世界でもっとも長期間にわたっておこなわれている研究─ハーバード大学の「成人発達研究」を紹介します。
そのなかに幸せな老後を過ごすヒントがあるのです。
「成人発達研究」は1938年に始まり、現在まで続いています。資金が続かなかったり、担当者がいなくなったりして、10年ぐらいで終わる研究が多いなか、80年以上も継続とはじつに異例の長さです.。
研究では、男性を2つのグループに分けました。
1つがハーバード大学の2年生、もう1つはボストンの極貧生活をしている子どもたちです。
10代の彼らにインタビューをし、健康診断を受けさせて、その後を追跡調査しました。
スタート時点で724人だった被験者は、2015年には90歳になり、当時約60人が健在でした。
調査はいまも続いています。
さらに、彼らの2000人以上の子どもたちも被験者として追加されています。
研究では、「健康で幸福な人生を送るのに必要なのは、〈富〉や〈名声〉〈がむしゃらに働く〉ことではなく、〈よい人間関係〉である。
それこそがもっとも大きな幸せの要因だ」と結論づけています。
さらに、周囲とのつながりは非常に重要で、「孤独」は命とりになると述べています。
家族や友達とうまくコミュニケーションを取れている人ほど、健康で幸せになります。
ミュニケーションをうまく取れていない人は、孤独を甘んじて受け入れ、少しも幸せとはいえない生活を送ります。
孤独な人は中年以降、健康の衰えが早くなり、脳の機能障害なども起こりやすく、孤独でない人に比べて長生きできないそうです。
また、「何かあっても頼れる人がいる」人ほど、記憶がはっきりしています。
一方「パートナーはいても、まったく頼れない」と感じる人は、早期に障害が表れるといいます。
よい人間関係は、健康だけでなく、脳の機能も守ってくれるのでしょう。
ある生命保険会社の調査「老後を変える全国47都道府県大調査」(2018年)によると、「老後に不安がない」という人の85%が「本音で話せる友人がいる」と答えています。
「老後に不安がある」という人のうち「本音で話せる友人がいる」と答えた人は75%でした。
また、老後の楽しみについての調査では、「友人あり」と答えた人のほうが「友人なし」と答えた人より、充実した老後を送れることが調査からわかりました。
ちなみに、アメリカのプリガム・ヤング大学のホルト・ランスタッドらの研究によれば、孤独を感じるピークは思春期と青年期で、超高齢期で再びピークが訪れるとしています。
孤独に関する病気のリスクは、65歳未満よりも65歳以上のほうが高いこともわかっています。
そして最近の研究では、孤独はアルツハイマー病の前駆症状だという可能性も指摘されています。
では、第2の人生は、どうやって歩いていけばいいでしょう。
定年後のプランって考えていますか。
「趣味をしたいな」「旅行に行こうかな」「なかなか会えなかった友人に会いたいな」「習い事でも始めてみようか」など、漠然と思い描いている人が多いと思います。
実はここ、要注意です。
定年退職後にやりたいことのアンケートで、必ずトップにあがるのが「旅行」です。
しかし、旅行に行くとしても、お金がかかります。趣味を優先するあまり、老後資金がなくなっては困ります。
「お金のプランニング」と「やりたいことのプランニング」を見比べ、バランスを取る必要があります。
また、1年中旅行をしているわけではありません。海外旅行や国内旅行なら10日間から、長くても1カ月程度でしょう。世界一周クルージングに出かけたとしても期間は半年です。
でも、定年後はくらべものにならないほど長いのです。
やりたいことが1カ月で終わってしまったら、残りの時間はどうしますか。
たしかに、退職後のお疲れさま旅行はいい思い出づくりになりますが、もっと長期的なプランニングが必要なのです。
友だちだって、毎日はつき合ってくれません。
仕事仲間や後輩を誘っても、応じてくれるのは最初だけです。
あまり頻繁に誘うと、ウザいと思われるのがオチです。こうなると、暇をもてあましてしまいます。
図書館やスポーツジムの前を通ると開館前から60代、70代とおぼしき男性が並んでいます。
午前中の図書館には、老齢の男性が多くいます。
平日の大型ショッピングセンターも同様です。
退職者らしき男性が、閑散としたスペースの中で所在なさげにソファに座っている光景をよく目にします。
平日のスポーツクラブなど、高齢の男女がひしめいて、まさに老人クラブ。更衣室ではほとんど挨拶も交わさず、黙々とトレーニングマシンに向かっているか、マッサージチェアに座ってずっと新聞を読んでいます。
もちろん健康のためもあるでしょうが、ほかにいく場所がないのです。
かつての流行語で「濡れ落ち葉族」を覚えていますか。
濡れ落ち葉とは、濡れた枯れ葉が地面から離れないことです。
定年後にすることのなくなった亭主が、いつも妻から離れない姿を揶揄した言葉です。
妻が買い物や散歩に出かけようとすると、「オレも」とついていく。
1日じゅうベッタリまとわりつかれれば、妻もうっとうしく感じます。
それをずっと続けていると、熟年離婚ということにもなりかねません。
いくら仲がよくても、それぞれの時間は必要です。
厚生労働省の「人口動態統計月報年計」(平成30=2018年)を見ると、離婚の総数は若干減っています。
しかし、婚姻期間が25年以上のカップル、いわゆる熟年世代に限ると上昇傾向にあります。
定年後に必要なものは「きょういく」と「きょうよう」だそうです。こ
れは「教育」と「教養」ではなく、「今日いく所」と「今日、用事がある」ことです。
まずは自分にできることをじっくり考える必要があります。
とはいえ、「それが難しいんだよ」というぼやきが聞こえそうですね。
そこで、「トライアンドエラー」をお勧めします。
少しでも興味のあることをまずやってみて、「自分には向いていないな」と思えば、次のものを試してみるのです。
何度か試すと自分にできることは何かや、向き不向きがわかってくるはずです。
たとえば……。
▼気軽な副業でもう一度仕事をしてみる
1カ月5万円の仕事でも、収入があれば助かります。
老後資金に問題がない人も働くことによって、生きがいにつながり、社会との接点をもつこともできます。
▼ボランティア活動に参加する
地域の活動でもOKです。コミュニティが広がって仲間もできる機会となります。
▼男の料理教室に通ってみる
これは妻に大好評になるはずです。
家事の助けになりますし、見直されること間違いなしです!
▼学び直し・リカレント教育
知識の探究に年齢は関係ありません。
今からでもけっして遅くはないのです。
時間に余裕ができたからこそ、昔かなわなかった夢に近づくことだって可能です。
通信教育などさまざまな制度があるので、ぜひ利用してみてはいかがでしょうか。
このように何でも挑戦してみるのはけっこうですが、大きな投資は避けるべきです。
「お金のプランニング」と「やりたいことのプランニング」つまり、お金の需給バランスの両方を考えることが大事です。
最近では定年を迎えた方や、定年間近の方々から「個人売買.com」へのお問い合わせが増えています。
またお話を聞くとコロナ禍にあって、雇止めにあった方々も多くいらっしゃいます。
先日のニュースで雇止めによる失業者数が10万人を超えたと報じられ社会問題化しています。
「生きがい」「収入」「交流」「社会とのつながり」をすべて盛り込んだ「個人売買.com」のビジネスモデルは多くの壮年・老年の方々に支持されています。ご夫婦で協力して事業をしている方の多く、生き生きと(たまにケンカしながら)収入を得ています。
まさに「きょういく」と「きょうよう」=「今日いく所」と「今日、用事がある」を経験できる副業モデルです。
是非事業説明会にご参加ください。時節柄リモート説明会も行っています。