給与所得者の皆さんは年末になると源泉徴収の額に一喜一憂することがあると思います。

最近では副業や個人売買などで得た収入をどのように確定申告したらいいかと悩んでいらっしゃる方もいます。

本コラムでも所得税に関するコラムを掲載していますが、今回は意外と知られていない給与所得者の課税項目に関してお伝えしたいと思います。

日本で働く人の約9割が、会社員やパート・アルバイトといった「給与所得」の人たちです。

中には「会社勤めの自分に確定申告なんて関係ないよ」と思う方もいるでしょう。ですが、一概には言えない事情があります。

というのも、最近は「メルカリ」などのフリマアプリ、仮想通貨投資の広がりから、給与以外の所得を得る人が増えているからです。

もちろん、そのほかの副業や個人売買で稼いだ所得も確定申告しなければいけない場合があります。

その他、競馬で大穴を当てる、アフィリエイトで稼いだなど本業とは別に大きな副収入があったにもかかわらず、確定申告をしなかったために後から嘆く人がいます。

会社員の場合も副業や個人売買などで給与以外で得た利益が20万円を超えたら、確定申告が必要になります。

副業や投資・個人売買による利益が「毎月2万円程度ある人」は、確定申告が必要かどうか一度調べたほうがいいでしょう。

上記で挙げた例のほかにも、以下のような場合に確定申告が必要になります。

1.年収が2000万円を超えた
2.
複数の会社から給与をもらっている(かつ、メイン以外の給与が20万円以上)
3.
競馬や競輪、パチンコなどのギャンブルで50万円以上の利益を得た
4.
最近流行りの「ふるさと納税」をした自治体が6カ所以上ある
5.年度の途中に会社を退職して、年末調整を受けていない

ここまでの説明を見て、「なんだか面倒くさそう」「大して稼いでいないから、無視しても問題ないだろう」と思っている人は要注意です。

期限内に確定申告をしなかった場合、所得税に加えて「無申告加算税」という罰則的税金を支払わなければいけません。

しかも罰金額は本来納めるべき所得税の1520%とかなり高額です。さらに、納付期限を過ぎてしまうと、「延滞税」という利息を支払わなければいけません。

実際、フリーランスの方で個人売買で収入を得ている方の中には「確定申告なんて今まで一度もしたことがないけど、税務調査なんてなかったし、追徴課税されたこともない」という人がいます。

ですが、それは無申告が許されているわけではありません。

その人の所得があまり高くないので、税務署にとっての優先順位が低く、たまたま連絡がなかっただけにすぎません。

意図的な、そして悪質な税金逃れほど、税務署は厳しく罰します。副業や個人売買で収入があれば確定申告が必要だと認識してください。

また、確定申告にはメリットもあります。

確定申告をすれば、払いすぎた税金が戻ってくることがあります。そのおカネを「還付金」と呼びます。

会社員やフリーランスの人は給与や報酬を受け取る際に、そこから「源泉徴収」のための金額を差し引かれています。

源泉徴収とは、所得税を天引きするシステム。多くの労働者は確定申告をする前から、すでに所得税を納めているわけです。

源泉徴収で納める税金はあらかじめ多く設定されています。

ですが、確定申告や年末調整を経ることで、「源泉徴収で納めた税金」と「あなたの正しい納税額」との差額分の還付を受けられるわけです。

「税金が戻ってくる」とわかって、少しは確定申告のモチベーションが湧いたのではないでしょうか。

ここからはちょっとの工夫で還付金を増やす方法を紹介します。

還付金は所得税を減らすことで増える仕組みです。所得税を減らす方法は、主に2通り。

1つは、「経費」によって所得を減らす方法です。

所得税は所得に比例して増加します。しかし、きちんと経費を計上すれば、所得が減り、それに伴い所得税が減ります。

このように合法的に税金を減らす行為は「節税」と呼ばれ、経営者や個人事業者に好まれています。

一方、架空の経費を計上したり、売上を除外したりする行為は、一般的に「脱税」と呼ばれ違法行為として追徴課税や罰金の対象になります。

では、副業や個人売買などをしていて確定申告が必要な会社員の場合、どんな経費を計上できるのでしょうか。

給与所得でも経費を計上できる制度もありますが、会社への申請が必要など条件が厳しいため、今回は副業や個人売買で計上できる経費の例を紹介しましょう。

たとえば、副業で中古車の個人売買をしていた場合、

1.仕入れた中古車の落札代金

2.オークションに支払う手数料

3.陸送費もしくは搬出の際の交通費(電車代・高速代金・ガソリン代など)

4.販売に必要な経費(掲載費用や成約時の手数料)

5.名義変更に係る費用(車庫証明申請・陸運局での印紙代)

6.車両の洗車代金

7.譲渡書類送付のための宅配便代

など中古車の個人売買に係る経費を経費として計上できます。

個人売買による売り上げを増やすために、資料やデーターを購入したり、経営セミナーに参加したりしていれば、その費用も経費として計上できます。

フリマアプリや投資においても同様で、収入を得るために必要な支出は経費として認められる可能性が高いです。

経費を多く計上すればするほど、所得税が多く還付される可能性が高くなります。

きちんと領収証を保管したり、交通費を記録したりして、確定申告に備えましょう。

そして税を減らす2つ目の方法は、「所得控除」を活用することです。

収入を得るために支出したおカネではないけれど、所得から差し引けるのが所得控除の特徴です。

所得控除はたくさんあります。確定申告に初めて挑戦する人であれば、以下の主な控除を受けられないか確認してみましょう。

1)社会保険料控除
年金や健康保険の支払いは社会保険料控除の対象となる。

金額に上限がないため、1年間(今回の場合、2017年)に支払った分については、すべて控除できる。

2)生命保険料控除
生命保険に入っていれば、最高4万円の控除を受けられる。

また、介護医療保険料と個人年金保険料を支払っていれば、それぞれ最高4万円の控除を受けられる。

3)地震保険料控除
地震保険に入っていれば、最高5万円の控除を受けられる。

4)配偶者控除
あなたに妻か夫がいて、その人の所得が38万円以下で、あなたと生計を一(いつ)にしていると、38万円の控除を受けることができる。

※難しい表現ですが、“生計を一にする”とは、「あなたの扶養に入っていて、同じ財布で生活している」といった意味です。

5)医療費控除
1
年間の医療費で10万円以上を超過した分については控除を受けられる。

最高200万円まで。

また、給与所得者としての年収が310万円未満なら、医療費が10万円に満たなくとも、控除を受けられる。

病院の診察費用だけでなく、治療のためにドラッグストアで買った風邪薬も控除の対象内。しかし、栄養ドリンクなどは対象外となる。

副業や個人売買などで確定申告が必要な方は、2017年の11日~1231日分の収入や経費、控除などを記載した確定申告書を税務署に提出してください。

ただ、普通の会社員の方が自力で確定申告を行うことはなかなか難しい印象をお持ちだと思います。

その際は国税庁のホームページを利用する、あるいは、自分の住む地域の税務署に行ってレクチャーを受けながら進めるのがおすすめです。

その際に必要な資料として、保険会社から送付される保険料のハガキや医療費の明細・簡単な帳簿を持参してください。

会計ソフトなどの活用もありですが、事業主になってお金の出入りが多くなってから使用してみましょう。

コストと時間をてんびんにかけて、自分に合った方法を検討してみてください。

次回は確定申告後に税務署が監査の対象とする事例をお話ししたいと思います。

 

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