高速道路は仕事にもレジャーにも欠かす事のできないインフラです。

渋滞なく早く目的地にたどり着ければ払った料金に見合う価値があると感じますが、首都高速のような渋滞が当たり前、都内を抜けるだけで疲れ切ってしまう時などは、「料金返せ」と言いたくなる経験を多くの方がお持ちだと思います。

民主党政権時代には高速料金の無料化など斬新な政策がとられましたが、政権を奪還されてからは元に戻るどころか、値上げが公然と行われてきました。

また、昨今の物価の値上げラッシュは原料代・燃油代・加工費・物流費などが高騰している結果であり、歯止めが効かない状況を生んでいます。

物流に携わる多くの運送会社のドライバーの方々は会社から高速利用を制限されて大変な労力を強いられているとも聞きます。

下請けの場合には運賃が決められており、経費が嵩めば会社の利益を圧迫するからです。

では、実際に現在の高速道路の利用料は適正なのでしょうか?

ここにアフターコロナも見据え、データに基づいた提言をもって「地方を切り捨てる産業・国土交通政策」の欺瞞に迫った共著書『地域格差の正体 高速道路の定額化で日本の「動脈」に血を通わす』という著書があります。

著者はトヨタの元副社長で名古屋商工会議所副会頭なども務めた栗岡完爾氏、岐阜県庁で企画・経済振興などの分野で活躍した近藤宙時氏ですが、その中で「モノの流れや人の流れを妨げている現在の高速道路のあり方こそ、経済の沈滞を生み、地域間の格差を広げてきた元凶」と記しています。

その根拠となる客観的なデーターをもとに換算すると、高速道路は¥200で利用できるとあります。

今回は東洋経済に投稿された著書の抜粋をもとに高速道路¥200説に迫ります。

少し長いコラムですが最後までお付き合いください。

まず、図表1はNEXCOの3社が発表している通行量と料金収入の一覧である。

これによると、高速道路を利用した車は平均で1台当たりわずか800円強の通行料分しか走行していない。

この通行台数には普通車だけでなく通行料金が約2倍となる大型車・特大車も含まれている。

この事実が、新たな料金制度に移行することを可能にしている。

現在、高速道路を利用している車が支払っている通行料金が平均で800円強ということは、入口で800円を支払えば、同じNEXCO管内ならどこまでも走れる定額制にできるということだ。

いや、現実に定額制になれば、これまで高速道路を利用しなかった人たちが利用するようになり、通行料収入も増えるはずである。

利用車両が増えることで、道路の管理費用がかさむといった心配もあるかもしれない。

しかしそれも、まさに杞憂だ。

NEXCOの3社において、道路補修費のほか社員給与費も含めた管理費用の合計額は、2018年度で6517億円。

定額制にして仮に利用車両が10%増えたとすると、その通行料収入は当然に現在の料金収入の10%である2350億円増加する。

それに対して、道路維持管理費を含めた管理費用が仮に「通行量の増え方の2倍増加する」と最悪の想定をしたとしても、1303億円増加するだけである。

NEXCOの3社のうち、利用車両の内訳を発表しているのは、実はNEXCO東日本だけであり、3社全体の正確な内訳はわからない。

本来は国民の共有財産であるはずの高速道路の利用内訳が発表されていないのは大問題だが、ここでは深入りしないでおこう。

仮に軽自動車が5%、普通自動車が60%、2軸トラック・路線バスなど大型車が30%、4軸トラック・観光バスなど特大車が5%の車両割合とした場合、「軽自動車300円、普通車400円、大型車1500円、特大車2500円」の定額制で十分に今以上の料金収入が得られる。

普通車400円であれば、車を通勤だけに使っている人も、多くの場合は今より確実に安くなる。

値上げにつながる人はほとんどいないと考えられる。

そして筆者らが提言する定額制料金の一番肝心なところは、「リスクの少なさ」だ。

必要経費で比較的大きいものといえば、料金表の改定費用とETCのためのコンピューターソフトの更新くらいだろう。

それとてシンプル極まりない料金体系になるわけだから、ちょっとした料金割引キャンペーンを行うよりはるかに安く済む。

NEXCOの3社の2018年度の決算の概要は、図表2の通りである。

高速道路を使う車から徴収する「料金収入」とほとんど同じ規模で「道路資産完成高等」という、一般的な財務諸表では見慣れない項目が挙がっている。

高速道路は、建設して完成した部分を独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構に引き渡す。

完成までにかかった経費(借入を含む)と同額が「道路資産完成原価」として支出欄に記載される。

言ってみれば、NEXCOが同機構の代わりに工事を行い、工事にかかった経費を支出に計上し、同額で引き渡したので収入にも計上するという、普通の企業では許されない「行って来い」の水増し経理なのである。

また、支出において、維持管理費よりもはるかに大きな金額を占めているのが、これまた通常の企業会計ではお目にかからない「道路資産賃貸料」という項目だ。

高速道路民営化の際、NEXCOの3社は同機構から高速道路を借り受けて、管理・運営のみを行うという体制が取られた。

このため、同機構が銀行に対して返済する元金と利息の合計額を、NEXCOの3社が毎年その利益から拠出することになっている。

その拠出金が「道路資産賃貸料」である。

この返済の肩代わりをしなければ、NEXCOの3社の経常利益は1兆7194億円にもなる。

そして、日本高速道路保有・債務返済機構の発足時の借入総額は37兆3976億円だったが、約20年で10兆円弱を返済している。

残り約30兆円の債務にかかる平均利率は1.02%(同機構の公表値)であるから、利息の返済だけなら約3000億円で済む。

現状の計画では、令和48年(2066年)という、現在の高速道路利用者のほとんどの人が利用できない遠い未来に借金の返済が完了し、高速道路は無料になる予定だ。

しかし無料化しても前述のように維持管理費用約6500億円は必要である。

その点で、よく言われる「高速道路無料化」は現実的ではないのだ。

道路の維持管理などに直接使われる金額が約6500億円で、これに累積債務の利息約3000億円を足しても、1兆円足らずという金額に過ぎない。遠い未来の完済=無料化を諦めれば、毎年1兆円を料金収入でまかなえばよいということになる。

料金収入1兆円を達成するには、2019年度と同じだけの利用車両数であれば、1台当たり347円の通行料を得られればいいことになる。

そこから計算すると、先ほどの「普通車400円」よりさらに安く、普通車で200円、大型観光バスなど特大車でも800円の定額制にできる。

今、トラック輸送は日本の物流の96%を担っているが、実はそのほとんどは、県境をまたいでいないことをご存じだろうか?

2018年に国交省主催で開かれた「第1回 新しい物流システムに対応した高速道路インフラの活用に関する検討会」で提示された資料によると、日本の物流の1日当たりのトリップ数(トラックの発着回数)は、3763万トリップに及んでいるが、そのうち県境を越えて物資を運んでいるのは221万トリップと、わずか6%以下に過ぎない。

同じ資料によると、東名・名神高速道路の総延長は、日本の自動車専用国道も含めた高規格幹線道路の総延長の約7%に過ぎないが、この区間におけるトラック貨物輸送量は、日本のトラックによる貨物輸送の実に48%にも及ぶ。

これは、中京工業地帯、京阪神工業地帯と京浜工業地帯が圧倒的な生産量を誇っていることによる。

高速道路の定額化によって、大型トレーラーで東京-青森間の往復8万3960円の高速道路料金が5000円になり、さらにこれまでの借金の償還を止めて利子だけの返済に変えれば1600円へと激減する。

これだけの経費が削減できれば、地方からの物流が活発化することは、言うまでもないだろう。

これまで3工業地帯に集中していた製造業が、地方へと分散化することも間違いない。

人が生きていくのに必要なものは「衣食住」といわれるが、街・都市が存続していくのに欠かせない要素は「費職住」である。

費は消費ができるか、職は職業、つまり就職先が得られるか、そして住環境が整っているかだ。

この3要素のうち、とりわけ地方にとって確保しにくいのが「職」=就職先である。

飲食業や小売業、医療やインフラなどの第3次産業がGDPの8割を占めるといっても、人のいない地域に第3次産業だけが進出し、集積することはありえない。

しかし、製造業をはじめとする第2次産業は、適切な用地さえあれば立地しうる。

製造業が進出すれば、工場に働く人がその周辺に住む。そしてやがて、街ができてくる。

過疎から脱却し、また過疎化を逃れる一番手っ取り早い手段は、工場に立地してもらい、その地域の「費職住」を充実させることだ。 

高速道路の定額制が実現すれば、広大な敷地の上に建つインターチェンジは必要なくなり、安価に出口を作ることができる。

高速道路の沿線ならばどこでも交通至便な工業団地の適地にすることができる。

日本は東証一部上場企業2174社(2021年9月末時点)のうち、1073社が千代田区・中央区・港区の都心3区に集中している。

日本の国土のわずか1万分の1の地域に、日本の大企業の半数が立地しているのだ。これは異常というしかない。

一方で、ニューヨーク証券取引場の上場企業約2300社のうち、ニューヨーク市に本社を置いている企業は、200社程度に過ぎない。

この差をもたらす大きな原因も、「地方ほど都市部へ行くのにお金がかかる」という高速道路料金制度なのである。

地域経済を支える農業・伝統産業には、野菜や木材をはじめ、漆器や陶磁器など単価に比べて重くかさばる製品が多く、物流コストが割高となる。

中国から大阪まで野菜を運ぶより、東北から野菜を運ぶほうが物流費が高くつくのだ

これでは、地方の農業・伝統産業が衰退しないわけがない。

高速道路料金の定額化は単に物流経費を削減し、物流にかかる時間を短縮するだけでなく、人々の交流を進め、「職」を生み出し、ひいては地方の文化・産業を活発化させる効果を持っているのである。

日本の場合、政治経済の中心が東京圏に集中しています。

その結果1回目の東京五輪に建設された首都高速を皮切りに、継ぎ足し継ぎ足しで高速道路が建設され、現在は迂回ルートの建設も盛んに行われていますが、利用するには高い利用料が発生します。

今までその金額の根拠に疑問を持たずに利用してきました。

利権が絡み1部の法人・人が利益を享受するための仕組みに更に目を向けていく必要があると感じます。

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