今回は少し寄り道をしたいと思う。
表題をご覧になった方は、今までの流れから「車の取説」を想像された事と思う。
今回は「妻のトリセツ」というかなり突飛なテーマに触れたいと思う。
最近では様々な調べ物や記事は全てネット経由で情報を得るようになった。
パソコンとにらめっこする時間が増えたため、膨大な情報量と引き換えに目が悪くなり、読書をする機会が滅法減ってしまった。以前は「文字に飢える」事が多くあり、やたらと読書をした時期があった。
それを改めるべく、本屋に立ち寄ったところ、「妻のトリセツ」という新書に出会った。著者は黒川伊保子さんという人工知能研究者であり脳科学コメンテーターの方で、脳科学から見た男女の違いから発生する違いを中立的な視点から分析し、アドバイスをしている。
150ページほどの著書だが、2時間程度で読破してしまうほど「妻アルアル」が述べられている。
何故今回、「妻のトリセツ」を取り上げたかと言えば、理由は2つ有る。
ひとつは世の中のトレンドや消費の主役は女性であると言う現象。
2つ目は、個人事業を開業する場合、会社勤めと違って自宅をオフィスにして妻と共有する空間と時間が増える。
また、協力や意見を求める機会が増える。
これらの理由から、女性の本質や考え方・感じ方の違いを遅まきながら理解をする事は、個人事業を立ち上げていく上で、大変重要なファクターだと思う。
1つ目の要素である、世の中のトレンドの創造主が女性と言うのは異論のある方もいらっしゃるとは思うが事実である。
80年代初頭に電通マーケティング研究会が「理性消費と感性消費」という1冊の本を出した。
高度経済成長真っ只中に消費行動の質的変化を見事に予言している。
大量生産、大量消費から多品種・少量生産に消費マインドが移ってきた時期に提唱された理論である。
「理性消費」とは物の持つ機能やスペックの優位性などを軸にした消費行動である。車に例えれば、トラックやダンプなどの商用車であり、安全に多くの資材などを効率よく運搬でき、酷使しても故障が少ないなどの点を基準に選択される。
それに対して「感性消費」は購入したい対象物がいかに生活や心を豊かにしてくれ、自分の価値を高めてくれるかという軸で選択される。
つまりファッションである。
この延長上にLOHAS(健康的で継続可能な生活スタイル)とかナチュラル、環境などのファクターが加味されてきた。
「地球に優しい」は一見理性的な要素だが、実はファッションなのである。
車で例えればプリウスなどは最も成功した例と言える。低燃費・環境性能・化石燃料への配慮など「環境にやさしい車」に乗っている自分は「環境に配慮したライフスタイルを持つ自分」であり、「物」が「物語」に質的変化をする際の基準はそこにファッション性があるかどうかだ。
言うまでもなく、ファッションの主役は女性である。つまり消費行動の中心は女性といえる。
最近では自動車のテレビCMを見ていると、明らかに女性を意識したデザイン・スペックであり、
「カーコンビニクラブ」では女性に共感を得るビジネスモデルを提唱している。インスタグラムに代表される共感型マーケティングが現在の主流である。
次にいよいよ「妻のトリセツ」に関して著書を抜粋しながら如何に女性パートナーを味方に付けていくかを考えて行きたい。
著者はこの本を
「本書は、脳科学の立場から女性脳の仕組みを前提に妻の不機嫌や怒りの理由を解説し、夫側からの対策をまとめた、妻の取扱説明書である。戦略指南書と言い換えてもいい。
要は、「夫」という役割をどうこなすかはビジネス戦略なのだ。男にとって、人生最大のプロジェクトかもしれない。
プロの夫業に徹することで、その結果「妻から放たれる弾を10発から5発に減らそうと言うのが、本書の目的である」と冒頭語っている。
目的志向の男性脳のプロセス思考に対して女性脳の違いを事例を交えながら解説している。
女性の発する言葉の裏にある心の声を理解して正しい答えを返せれば、男性がすでに「ケリ」がついたと思い込んでいる(もしくは忘れている)事例を呼び起こし、妻が記憶に感情の見出しをつけて収納している出来事や過去何十年もの類似記憶を呼び戻して銃弾を浴びせられる事をある程度回避できるとしている。
全てを要約してお伝えできないのが残念であるが、第1章の最後に「心と裏腹な妻の言葉」の翻訳と言うパートがある。
あ行 「あっち行って!」→あなたのせいでめちゃめちゃ傷ついたの。ちゃんと謝って慰めて
か行 「勝手にすれば」→勝手になんかしたら許さないわよ。私の言う事をちゃんと聞いて!
「好きにすれば」も同義語
さ行 「自分でやるからいい」→察してやってよ。察する気がないのは愛がないって事だね
た行 「どうしてそうなの?」→理由なんて聞いていない。あなたの言動で私は傷ついてるの
な行 「なんでもない」→私、怒ってるんですけど?私泣いているんですけど?放っておく気なの?
は行 「一人にして」→この状況で本当に一人にしたら絶対に許さない
ま行 「みんな私が悪いんだよね」→えっ?それって私が悪いの?私のせいなの?あなたのせいでしょ
や行 「やらなくていいよ」→そんな嫌そうにやるならもう結構。私はあなたの何倍も家事してますけどね。
ら行 「理屈じゃないの」→正論はもうたくさん。「愛してるから、君の言う通りでいい」って言いなさい
わ行 「別れる」→ここは引けないの。あなたから謝って!
まさに「妻アルアル」である。翻訳して理解して行動するには、相当な熟練を要するかもしれないが、冒頭お話したように世の中のトレンドを理解し妻の理解と協力を得ながら事業に踏み出すためには、いい勉強の機会かもしれない。是非本書を読まれる事をお勧めする。
抜粋 黒川伊保子 編著 「妻のトリセツ」 講談社+α新書