近年「シェア」(共有する)という言葉をよく耳にします。

「食事をシェアする」「時間をシェアする」「シェアハウス」「カーシェア」などです。

「同じ目的を持った人たちが合理的かつ経済的メリットを享受し、コミュニティーを形成する事」と解釈できます。

例にとれば「シェアハウス」などは複数の人が安い賃料で共同生活し個性やプライバシーを尊重しながらコミュニティーを形成していくわけですが、日本のような閉鎖的な文化の中では開花が遅れているようです。

そんな中、タクシーではない一般のドライバーと乗客をマッチングするライドシェア・アプリ「CREW(クルー)」の運営会社、Azit(アジット:東京都渋谷区)が、同事業を長期休止する旨の告知をしました。

都内や地方の観光地、交通過疎地域などを対象に事業を提供してきてきた同社ですが、新型コロナウイルスの感染拡大で利用者が激減。すでに4月からマッチング機能のサービス提供は休止しており、コロナ影響が続く中で早期の再開を断念したようです。

年内にサーバーを停止しアプリからのアクセスもできなくなります。

同社のの吉兼周優CEOは、「コロナの影響で人が移動しなくなり、タクシー並みかそれ以上に利用者が減った。

この状況でCREWの事業を伸ばしていくのは難しい」とコメントしています。

再開時期のメドは立っておらず、このまま事業撤退となる可能性も否定できない状況です。

ライドシェアはシェアリングエコノミーの1つで、一般のドライバーが自家用車で目的地まで運んでくれるサービス。アメリカのUberやLyft、中国のDiDi(滴滴出行)が世界的に有名です。

基本的にタクシーよりも料金設定が安く、別の乗客との相乗りならさらに安く移動でき、ドライバー側も車さえあれば手軽にお金を稼げるため、アメリカや中国では爆発的な勢いでライドシェアの利用者が広がりました。

一方、日本では、こうした一般ドライバーによる客の有償運送がいわゆる、「白タク」行為として道路運送法で禁じられています。

そうした中、日本版のライドシェアサービスとしてスタートしたのが、「CREW」や「notteco(のってこ!)」、「nori-na(ノリーナ )」です。

nottecoとnori-naは乗客がガソリン代や高速代など実費のみを割り勘でドライバーに支払う仕組みにすることで、違法な営利行為には当たらないとして法規制をクリアしましています。

ドライバー側が得られる金額は少ないですが、それでも所用で目的地に行く際に多少はガソリン代などの足しにはなるわけです。

一方、CREWは乗客が実費に加えて、任意で謝礼もドライバーに支払う仕組みです。

謝礼は義務ではないため、白タク行為には該当しないという理屈です。

監督官庁の国土交通省は2018年に出した通達の中で、これを認める見解を示し事業化が進みました。

CREWの特徴は、ほかの2つはドライバーが掲示板で相乗り希望者を募るのに対し、AzitのCREWは唯一、アプリ上で出発地と目的地を入力すれば自動的にドライバーが見つかるシステムを採用し利便性を高める投資をしました。

そのAzitがCREWのサービス停止に追い込まれた背景には、コロナ以外にも大きな収益性の問題があったようです。

CREW事業で会社側が得る収入は、サービスを利用した乗客から徴収するシステム利用料のみ。

サービスを普及させるため、その料金は「1ドライブ20円+1分あたり20円」と安く設定。

それでも当初期待されたほどはユーザーが広がらず、コロナ以前から事業の採算性は厳しかったと言われています。

中国や欧米並みに文化として定着すれば薄利多売での採算性も実現可能と見込んだのではないでしょうか。

このため、事業の拡大などに必要な資金を外部に頼ったが、2019年は実際に調達できた金額が予定していた規模を大きく下回りました。

日本では諸外国よりもタクシーが拾いやすいうえ、鉄道やバスも普及しています。

加えて、いくら安くても、見ず知らずの個人の車に相乗りすることに強い抵抗感を抱く人は多いと言われています。

法規制をクリアしてもライドシェアの利用者数は限られ、認知度もまだ低いのが実情です。

それ以上に「シェア」の底流にあるのはコミュニティーの形成です。

合理性・経済性をクリアーしても「コミュニティーの形成」が欠落してしまいます。

実際、CREW以外の2つの日本版ライドシェアサービスも事業運営は厳しい状況にあるようです。

nori-naを運営する中古カー用品販売会社のアップガレージ(東京都町田市)は、システムの維持にコストがかかるアプリ内の決済機能を2019年9月に停止し、同時に問い合わせ対応などのサポート業務も打ち切りました。

現在、アプリはドライバーが相乗りする相手を募る掲示板機能のみになっています。

実質的に残るのはIT系企業ガイアックスがグループで運営する中長距離ライドシェアのnottecoですが、こちらも大苦戦を強いられており、先細りを予見させます。

法規制をクリアーしIT企業がプラットフォームを提供する例は多くみられます。

ビジネスチャンスを創出するパワーと資金調達力は目を見張るものがありますが、利便性・合理性・経済性は満たしても「コミュニティー」を形成するまでには至っていないことが日本市場で定着しない一因ではないでしょうか。

 

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