先日のニュースで高齢者の定義を現在の65歳から70歳に引き上げるという論議が政府内で起こっていることが報道されました。

このニュースを見聞きして皆さんはどのように感じたでしょうか。

多くの方々は年金支給年齢の引き上げ、定年の延長の思惑を感じ取ったと思います。

少子高齢化のもと、国の運営資金である税金をいかに長い期間徴収するかは国家存続にとって大きな課題でもあります。

しかし先行きの見えない経済状況下においてこのような論議が巻き起こりますと先ず将来不安が先立つと思います。

実際に長年会社に勤め定年を迎えた方々と接しますと、セカンドキャリアどころか「漂流している」感を感じることが多くあります。

いくら政府や経済団体が副業を認めるといっても、役職者にとっては将来設計を考える時間もないまま日々を過ごし、燃え尽きた状態でセカンドキャリアを考える間もなく定年を迎える現状は昔も今も変わらないようです。

弊社が運営する「個人売買.com」は中古車のインターネット販売での副業モデルを推進していますが、会員のバックグラウンドは実に様々です。

自動車業界従事者・現役会社員・教育関係・会社顧問・経営者など様々なバックグラウンドを持った方々がセカンドキャリア形成を目的に参加していらっしゃいます。

筆者も外資系化粧品会社の製品開発・PR・販売促進・品質管理など、中古車事業には無縁のキャリアでした。

一見すると不自然なマッチングですが、参入前には自身の能力や経験の「棚卸」をした上で行きついた結論です。

ではセカンドキャリアの道筋を発見する前段階、「棚卸」とはどのような事なのでしょうか。

一言でいえば「会社や役職の看板を取り外して、社会に進出でき、セカンドキャリアとして通用する能力の発掘」といえます。

そこで、このコラムでは「どのようなプロセスで自身の経験・スキルを棚卸するか」そしてそれを基に自身のセカンドキャリアの形成とどのような副業に参入していくかをお話ししたいと思います。

長年企業で働き、成功や失敗も含め、さまざまな経験を積み重ねてきたミドルマネジメントの方々には、ご自身でも気づかない、計り知れないほど多くの経験知が蓄積されています。

経験知とは長年多くの経験を積んだ人が、無意識のうちに使っている、蓄積した知識・スキル・コンピテンシー(行動特性・人間性)のことを指します。

そんなみなさんの経験知を「言語化・形式知化(棚卸し・プログラム化・講座化・新しいキャリアにシフト等)」できれば、その先には、驚くような高評価や収入が手に入ります。

具体的に“経験知”を言語化していく方法をお伝えします。

⑴ 「専門分野=知識・領域」

⑵ 「実践スキル=業務経験」

⑶ 「コンピテンシー=行動特性・人間性」

の3つの領域から、あなたの経験知を探っていきましょう。

実際には、これから紹介していく12の質問に答える形で、あなたの知識・スキル・コンピテンシーを棚卸ししていただきます。

まず、皆さんの経験してきた仕事を書き出しましょう。  

たとえば、「営業の仕事」とひと言で言っても、専門領域も違えば、法人営業(ルートセールス)か、それとも一般のお客様への接客営業なのか、あるいは「押しの強い営業スタイル」なのか、「ソフトで関係構築型の営業スタイル」なのかなど、営業のスタイルやタイプもさまざまです。

このように、たとえ同じ営業という仕事であっても、細かく見ていくと、みなさん独自の特徴や、たくさんの隠れた強み等があるものです。

それではまず、経験してきた業務は、どのような専門分野で、その仕事を通じて、どのような知識を習得してきたか、具体的に確認してみましょう。

次の4つの質問の回答を、「できるだけ詳しく&細かく」書き出してみてください。

質問1 どのような分野の仕事を経験してきましたか? 

質問2 仕事には、どのような知識が必要でしたか? 

質問3 仕事をどの地域(エリア)でしてきましたか? 

質問4 その仕事で、どのような人たちと繋がって(会って)きましたか?

次に、経験してきた「実践スキル=業務経験」について確認してみましょう。

実践スキルとは、これまで「何をしてきたか」という経験や、具体的に仕事で「何を」「どのように」できるのか、という能力のことをさしています。

また、実践スキルの一つに、「役職・役割」もあります。リーダー、主任、係長、課長、部長等の役職や、クレーム対応係等の役割もあり、営業職の場合には、営業活動の一環として、プライベートで地域の町内会の役員等を引き受け、営業実績とプライベートの人望との相乗効果を上げるケースもあります。

これらの役割も含めて棚卸ししていくと、今以外の仕事でも役立つ素晴らしい実践スキルが眠っていることに気づくと思います。

それでは、前項と同様に、次の4つの質問への回答を、「できるだけ詳しく&細かく」書き出してみてください。

質問5 仕事で、どのような「業務」を経験してきましたか? 

質問6 具体的に「何を」×「どのように」してきましたか? 

質問7 仕事やプライベートで、どのような「役職」を経験してきましたか? 

質問8 どのような仕事が、もっとも「得意」でしたか? 

 

続いて、「コンピテンシー=行動特性・人間性」を見える化&分析していきましょう。

コンピテンシーとは、行動特性や人間性という意味です。

ハーバード大学の行動心理学者、デビッド・マクレランドが提唱した概念で、2000年ごろから日本にも導入されるようになりました。本稿ではコンピテンシーを、新たな仕事の機会を発見し、自己を探究するための目的に注目して、「行動特性・人間性」と定義づけしています。

次の図は、氷山になぞらえて物事を比喩する「氷山モデル」と言われるモデルで、コンピテンシーのイメージを表現したものです。

氷山は、海面に出ている部分はわずかであっても、海面下には、大きな氷塊が潜んでいます。

同様に、その人の行動や仕事の成果は、潜在するコンピテンシーによって大きく異なることを意味しています。

たとえば、慎重さや正確性を重視するタイプの人と、迅速性や戦略性を重視する人とでは、同じ仕事をする場合に起こす行動やその成果も、まったく異なる結果となるでしょう。

これがコンピテンシーの興味深さであり、また、仕事をするうえでの大切な潜在能力の一つです。

それでは、これまでと同様に、次の4つの質問への回答を「できるだけ詳しく&細かく」書き出してみてください。

 

質問9   仕事をする際、心がけていることはありますか?

質問10 お客様と接する際、心がけていることはありますか? 

質問11 上司や部下と接する際、心がけていることはありますか? 

質問12 仕事をしていてどのようなときに達成感を感じますか?

 

ここまで、「専門分野=知識・領域」「実践スキル=業務経験」「コンピテンシー=行動特性・人間性」を見える化・言語化してきました。

書き出していただいた要素の一つひとつが、新たな仕事や潜在能力の開花に繋がります。

これらの「経験知や才能」を活かせば、50代からの輝かしい未来のキャリアが拓けてくるでしょう。

みなさんも本稿を参考に、ぜひご自分の「強み」を再確認してみてください。

 

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