第3回目では、最近メディアで副業を取り上げるケースが増加しているので、事象からとらえた副業に関しての意見をのべた。

第2・4回目では個人事業を立ち上げる際の考え方のプロセスをマーケティングの立場から述べてきた。

ここでは個人事業にモデルケースとして中古車の個人売買を挙げてみよう。先ずは市場性を客観的な統計で分析してみる。

リクルートが発表したデーターによると、

*1年間の中古車の購入にかけられた費用総額は3兆275億円で2015年から年々増加

*1年間の中古車購入にかけられた費用総額は3兆275億円、延べ購入台数は250.3万台と推計。中古車購入単価の平均は120.9万円。それぞれ2015年から年々増加。

*直近で購入した中古車のボディタイプは「軽自動車」が37.8%。2015年より、「軽自動車」が減少、「ミニバン」 が増加。

*直近で購入した中古車の購入先は「中古車専業店」が34.2%、「メーカー系販売店(ディーラー)中古車」が31.4%。

となっている。市場規模・市場安定性・市場取引件数の増加・単価向上など安定成長が期待できそうな業種である。

次に内閣府が発表した年代別の車の保有割合の推移を見てみよう。

若者の車離れが叫ばれて久しいが、2005年と2018年の普及率を比較すると10ポイントしか下がっていない。

やや短絡的な見解だが、中古車市場は大きな質的変化(例えば、ずべての車が一気に電気自動車になるなど)が起きない限り、安定した需要のある業種といえる。

マーケットの規模と安定性は理解出るものの、いざ自分が参入すると仮定すると、二の足を踏むのが人間の常である。

それは中古車業界の慣習やイメージに加え、利益を出せるのか?継続できるのか?車は単価が高いので運転資金は?などなどたくさんの不安を抱いてしまうからである。

その他にもメーカー・車種・グレードが多く何が売れるのか?いくらが仕入相場なのか?販売相場は?調達ルートの確保など不安要素はある。

そもそも自動車業界は製造と販売が独立しており、製造から販売、そしてリピートに至るまで、陸送業者・修理業者・部品販売業者・買取専門業者・業販オークション・車販売店など、分業が確立された裾野の広い産業である。

中古車業界の現状を要約すると、
【強み/メリット】
① 市場が大きい
② 市場規模が安定している
③ 利益額が大きい
④ 部品の調達や修理依頼先が多い
⑤ 陸送などは個人で行なうよりも安価に依頼できる

【弱み/不安要素(デメリット)】
① 中古車業販オークションに加盟しないと車が調達できない
② 業者オークション加盟条件が厳しい。加盟料や年会費が発生する
③ 中古車の質の見極めが出来ない
④ 業販相場と販売相場が分からない→どの程度の利益が見込めるか?
⑤ 車の専門的な質問を受けたときに明確な対応が出来るのか

などが代表的な疑問ではないだろうか?

次に販売ルートの選択も初期投資や収益性を考えたときに重要な要素である。

店舗を構えるのか?無店舗でやるか?だが、この答えは明確である。

断然インターネットを駆使した無店舗販売である。

現在の中古車販売の約65%がディーラー中古車か中古車販売店である。

残りの35%はどんなルートで購入しているのか?インターネットの爆発的な普及が牽引してイー・コマースが増加していると推測される。

では、先の不安要素に対する解決方法は何か?答えはそれらを解決できる知識と経験を持ち、信頼できる人やサービスを提供する会社に頼めばいいのである

また、車のインターネットでの商取引はしたことがないという方も知識経験を有する人に頼めば全ての疑問と不安は解消できる。

余談だが、かつてイトーヨーカドーの社長であった伊藤雅俊氏がインタビューにこう答えている。「自分で出来ない事は、出来る人にやってもらえば良い」30年ほど前にこの言葉を目にした時、当時全てのプロセスを内省化することが企業の価値であり、全てを掌握する事が日本流のマネージメントであった時代に、アメリカ企業のような考え方を持った経営者が現れたと感激したものだ。

事業を興し、経営者となることは、全方位に神経を張り巡らし、優先順位をつけてバランスを保ち、収益性・資金回転率を上げていく事であり、物流・営業・マーケティング・経理などを全て自分ひとりで行なう事ではない。と言うより、不可能に近い。

外部の知識とインフラを活用して、独自のモデルを構築することが成功への一歩であろう

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