今まで幾つかのブログ(第5・6・8話)の中で中古車市場の歴史や市場規模の大きさから派生する中古は販売の特殊性や市場の成長性に関してお話した。
車のニーズは根強く、買いたい方も売りたい方も多く存在する。また、個人売買で中古車を扱う方々やサービスを提供する会社も存在する。
今回は個人売買で中古車を取り扱いたい場合に必要なサポートを提供する会社に登録する際の注意点についてお話したい。
幾つかの大手の運営会社を見ると、IT関連企業が運営している事が多い。
取引のプラットフォームを開発し、広告投資をして説明会を行い、会員を集めている。
筆者がかつて登録していた会社もIT関連の企業の一事業として中古車の海外輸出や国内販売のプラットフォームを開発して会員に提供している。
会員になるには高額な入会金を支払い、3~4日間の研修を受けて中古車販売に必要な一連の知識を習得する。
その後は、毎月定額のサイト使用料や出品中古車が成約した際には、販売価格(もしくは諸費用や船賃を含めた)に対するロイヤルティを徴収される。
大きな運営組織で、プラットフォームの自社開発に大きな投資をしているためにしているため、サイト使用料やロイヤルティの負担は大きい。
運営会社はそれらの投資を様々な料金に含めて回収する。
これらの背景により個人事業としては初期投資が大きい上に手元に残る1台の中古車販売による純利益は微々たるものである。
肝心な中古車の仕入に回す資金が少なくなり、結果、銀行や政策金融公庫からの借り入れを申請する。
一大決心して好きな中古車の販売に希望を燃やし、退職金や貯金を注ぎ込んでも目減りするばかりか、新たに借り入れをする方が多い。
運営会社は相談窓口を設けて電話での相談を受ける体制を整えているが、中古車販売の一定の経験を経て、その労苦を理解していないケースために会員の悩みを真剣に受取れないケースも見受けられる。
会員宅に赴き、会員と一緒に仕入れた中古車を仕上げて商品化するような作業などは行なっていないのが現状である。
会員は試行錯誤しながら、また、寝食を忘れて働き続けても、中古車販売に横たわる問題を解決できないまま、資金が底を着いてしまうケースが多いといわれている。
一方、中古車販売のプラットフォームを運営する会社では、会員集めに躍起だ。
なぜなら、前述の状況から1年以内でやめてしまう会員が約80%と言われているからだ。
また、定期的にセミナーや成績優秀者の表彰を行ない、メルマガやウェブに投稿しているが、多くの会員にとっては他人事と思われるばかりか、ますます自己嫌悪に陥ってしまう。
これらの状況を鑑み、中古車販売の個人事業に横たわる様々な課題を習得し、事業として継続性を持たせるために必要な要素を備えた本部機能を列挙してみよう。
- 業者オークションに運営会社自身が加盟している
- 業者オークション出品車両の相場や潮目を把握し、的確なアドバイスが出来る
- 会員が販売したい中古車両の特質をよく理解していて、仕入の際に的確なアドバイスが出来る知識と経験を持っている
- 修理工場を併設していて、会員は安価で修理が可能である
- 本部担当者が中古車販売に関する専門的な知識と経験を持っている
- 休日や時間外でも連絡・相談が出来る体制である
- 会員の事務所や自宅に赴き、一緒に中古車のチェックや仕上げなどを行なう機動力を持っている
- 会員の悩みの本質を理解して的確なマン・ツー・マンでのカウンセリングが出来る
- 入会金や月会費・成約手数料などが安価で、会員の利益を優先に考えている
- 会員間の情報交換や交流が盛んである
- 運営会社が余計な固定費を掛けていない
このような運営会社が理想ではないだろうか?個人事業者は異業種からの参入や、未経験者も多い。様々な不安を抱えての船出である。何よりも一大決心をして投資をする以上、成功したいと言う願望が強い。それを受け止めて、表面的なアドバイスでなく、同じ目線で問題解決する姿勢が大切であろう。同じ目線に必要なのは、豊富な知識と経験と機動力である事は言うまでもない。