中古車を選ぶときに何を基準に選ぶだろうか?

メーカー・車種・グレード・外装色・走行距離・年式・ドレスアップ・車検の有無など様々な要素が思い浮かぶ。

私の友人はその中古車が大切に乗られてきたかを重視している。

特にインターネットで車を見る場合は掲載されている車両情報を頼りに選ぶ必要が出てくる。

出品者にメンテナンス状態や大きな部品交換歴などを聞く事もできるが、その友人はタイヤの状態を見れば、前オーナーが大切にしてきた車かを理解できると言う。面白い視点である。

そこで今回は見落としがちなタイヤに関しての情報をお届けしたい。

皆さんはジョギングするときにトレッキングシューズを履くだろうか?答えはNoであろう。

運動靴にも用途に合わせた機能と素材が使われている。例えばジョギングシューズには素材の軽さや通気性、膝への負担を軽減するクッション性とフィット感、地面を捉える為の底に刻まれたパターンなどがある。

車のタイヤも同様である。つい我々はインチアップしてスタイリッシュなデザインの車に目が行ってしまうが、一番重要なのは車の性能や用途に合ったタイヤ選びなのかも知れない。なぜなら、

1.車は命を乗せて走っている

2.燃費や性能を引き出す大きな要素である

3.日本ほどストップ&ゴーが多い国はない

ではまず、

トレッドと言われる溝がある意味

その役目は以下の4つである。

1.車の駆動・制動力などを接する路面に伝える。

2.雨や路面が濡れていた際、路面上の水を排水し、タイヤをより路面に密着させる。

3.スリップや横滑り等の危険を抑制し、操作安定を向上させる。

4.騒音等を減らして乗り心地を向上させる。

トレッドは主に4種類に大別され、一般的に乗用車にはリブ型と呼ばれるトレッドパターンが多い。

次にタイヤサイズとサイドウォールに記載の記号の読み方について

225 50R  20 (93Y

①  ②③  ④   ⑤⑥

(1)タイヤ幅

タイヤの断面幅。トレッドパターンが設定されている面をさす。

(2)偏平率

タイヤの幅に対しての高さ(サイドウォールの幅)の比率。求め方は「偏平率(%)=高さ/断面幅×100」で算出される。

(3)ラジアル構造

タイヤ内の構造。もう1つバイアス構造が有る。

(4)インチ(リム径)

タイヤの外径から、高さ(サイドウォール)を引いた物。インチ表記している。

(5)ロードインデックス

タイヤ1本あたりが支えられる最大の質量を表示している。

(6)速度記号

装着しているタイヤが既定の条件下で安全な走行が許される最大速度を示す記号((9)のような表記や(Y)表記などは速度カテゴリー)。これは(5)のロードインデックスと共には表記されず、(3)のRと共に表記され、さらにはZの付いているタイヤはロードインデックスを表示しなくてもよいというルールまで作られた。現在、タイヤの製造技術が発達し、「H」を超える規格がいくつも作られたため、「V」や「W」などの速度記号とロードインデックスが「ZR」とともに表記されているようになった。

速度記号  L  Q  R  S  T  H  V  W  Y  ZR  (Y)

最高速度    120  160  170  180  190  210   240   270   300   240超 300超

(km/h)

タイヤのインチアップについて

インチアップとは

タイヤの外径(全体の大きさ)を変えずに、ホイールのインチ(直径)を大きくすることをインチアップといいます。逆にインチを小さくすることをインチダウンと言う。

インチアップの利点

1.ホイールを変更することができるので、車をお好みに合わせてドレスアップできる。

2.偏平率が下がることからサイドウォールが小さくなるので、ハンドルを切った際のタイヤのたわみが少なくなり、操縦性が良くなる。

ホイールの直径が大きくなるのでブレーキを冷ましやすくなり、ブレーキが効きやすくなる。

タイヤ幅も大きくなりますので車体の安定性も向上。

インチアップの難点

サイドウォールが小さくなるので地面からの振動や衝撃等が吸収されにくくなり、路面の状態によっては車内に振動が響く。

タイヤのサイズが変わり、ロードインデックス値が下がる場合、耐荷重性能が下がるため、バースト(破裂)等の問題が発生する可能性がある。

また、大幅にロードインデックスが下がったり、タイヤが車からはみ出していたりする場合、車検に通らないこともありますので注意が必要。

ランフラットタイヤについて

ランフラットタイヤとは

パンクしていても一定の条件の下であれば、ある程度の走行ができるように設計されたタイヤ。例えば、高速道路を走行中にパンクした場合でも、80km/h以下の速度で80kmまで走行可能なので、近くのサービスエリアやガソリンスタンドへ安全に行く事が可能。

これにより、スペアタイヤや修理キットなどを車に乗せる必要がなくなるので、積載重量が減ることによる燃費の向上などが期待できる。ただし、パンク状態での走行は危険なので、すみやかに交換することが必要。

なお、通常のタイヤからランフラットタイヤへ換装する際には、ランフラットタイヤ専用のホイールと空気圧センサー等が必要。(空気圧センサーはランフラットタイヤがパンクしたかどうかを確認するために必要です。)

タイヤ性能を十分に発揮させるには

1.タイヤの空気圧管理

タイヤはホイールに組み込んだ後、空気を充填することで使用可能になる。しかし、この空気の量が多すぎたり少なすぎたりすると、時に大きな問題を引きおすことがある。なので、空気圧の管理は重要。

2.充填する空気の量について

新車時に装着しているタイヤと同じサイズやロードインデックスの場合は運転席側のドアに記載されている。インチアップやインチダウンをしているのであればそのタイヤに合う空気圧を入れる必要がある。

3.空気圧不足の場合

トレッド面の両端が極端に摩耗しやすくなる。タイヤがたるむので熱が溜まりやすく発熱による損傷(ヒートセパレーション)を起こしやすくなる。また、雨天時にはハイドロプレーニング現象も起きやすいと言われている。

4.空気圧超過の場合

トレッド面の中央部が極端に摩耗しやすくなる。空気が多く入り張っているので操作時に乗心地の低下や振動が大きくなることがある。また、タイヤが傷つきやすくなるため、バーストの危険性が増す。

タイヤの空気圧点検や調節方法

空気圧の点検は必ず車に乗る前に行なおう。なぜなら、空気は温まると熱膨張を起こし空気圧が高くなる。走行後は正確な点検が出来ない。

タイヤ内の空気はタイヤキャップをきつく締めても、自然に洩れて空気圧が低下する。空気充填の1ヶ月後から低下率が高くなってくるので、タイヤを長持ちさせ、安全に走るためにも月に1回は点検しよう。

車によっては高速走行時や乗車人員、長時間走行の際に空気圧の調整をする場合がある。本来は指定された空気圧を入れるのが一番良いが、使用する状況によっては高めに設定することもある。ただし、高くする場合でも規定圧から上限10%程度までに。

タイヤ溝、深さの管理

タイヤ溝は走るたび摩耗し減っていく。タイヤには使用限度があり、1.6㎜以下になるとトレッド部に「スリップサイン」が現れる。「スリップサイン」が出たタイヤで走行することは、法令の「道路運送車両の保安基準」で禁止されているので、サインが出る前にタイヤを交換が必要。

タイヤの交換時期について

タイヤの交換時期については以下の2点を確認。

上記のスリップサインが出そうになっているかチェック。

タイヤが劣化して表面や側面にヒビが入っているかをチェック。(タイヤはゴム製品なので年数が経つにつれて少しずつ劣化する。)

どちらも交換時期を表すサインなので、サインが確認できたなら、できるだけ早く交換しよう。

これらのように、タイヤには重要かつ繊細な役割がある。昨今の車両は衝突安全性を保ちながら軽量化が進んでいる。スタイルばかり重要視したあまり、インチアップしてロードノイズがうるさいなどの現象はおきやすい。車個々の特性や用途に合わせたタイヤの選択とメンテナンスが必要である

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