妖精さん――職場に出て来ても、ろくに働かない中高年サラリーマンをこう揶揄するそうです。

由来は「朝の数時間しか姿を確認できない珍しい存在」だから。若い世代が名付け親です。

 幾つかの「妖精さん」に関わる記事を読んでいますと妖精さんはあらゆる業界にいるようです。

例えば

「明らかに寝ている人もそうなんですが、席に全然戻って来なかったり・・・。お散歩でもしているんでしょうか」(30代女性)

「席にいない。タバコ吸いに行ってるとか、電話してるとか。やたらと電話が多いんです」(女性・営業事務)

「ハンコ押すくらいしか仕事ないのに、その決済すら遅い」(男性・通信)

などなど、散々な言われようです。

一方、「妖精さん」と呼ばれているかも知れない50代のサラリーマンたちの言い分も聞いてみますと、

「パフォーマンスはたしかに落ちますが、経験値でカバーしようと努力はしている」(58歳男性・医療系)

「安い給料で頑張っている若い人の気持ちも分かるけど、俺たちもそういうのを経験してこの年になった」(54歳男性・物流)

「年を取るというのは経験しないと分からない。とにかく、体力が落ちれば気力も落ちちゃう。頭も昔ほど働かない」

など、ある意味生産性の低さを認めるコメントが目に付きます。

以前の年功序列社会にも「妖精さん」は居たはずです。

では何故今「妖精さん」がクローズアップされてきたのでしょうか?

1番の理由は、若い世代の給与水準が低い状態が続いている事と上が詰まっている閉塞感ではないでしょうか?

経済指標は改善され、物価や消費税が上がりましたが、可処分所得は一向に上がらない。

年金などの社会保障の将来も危ういなど、失望感が蔓延し、不公平感が募っているのかもしれません。

話は変わりますが「70歳定年法」をご存知でしょうか?

文字通り国が定める定年が70歳まで延長される法律です。

この法案が成立した場合、会社は一定の時限措置を経ながら実施される事になります。

背景は「人生100年時代」「働き方改革」「副業解禁」などの大命題を背景に「税収入の確保」と言う本音がちらつきます。

この法案の成立と施行を企業や若い世代や「妖精さん」達にとってどの様な影響をもたらすのでしょうか?

企業にとっては、元々給与が高く労働生産性に低い「妖精さん」の雇用延長になりますので、労務費が嵩みます。結

果、給与水準や退職金の支給金額が平均的に下がるか、実績を中心とした欧米的な人事評価制度の色を濃くしていくと思います。

また、法律の実施までの期間に「妖精さん」世代や第2次ベビーブーマーを対象とした希望退職や指名解雇を実施する企業が増えるかもしれません。

若い世代は早くから色分けされて、退職率が高まることでしょう。

その時点で経済が成長していれば、人材は円滑に流動化しますが、そうでない場合には失業率にも影響が出る可能性があります。

この様に分析していくと企業の収益が飛躍的に増え、給与水準が上がり、国の税収が増えない限り、「妖精さん」達をはじめ若い世代にとっても明るい将来や人生設計が見えてこない社会になってしまいそうです。

是非今から真剣に自身の経験と知識を生かせて興味の沸く仕事を見つけましょう。

最初はテストマーケティングとして「副業」、継続性を加えて「本業」、収益と生きがいを得て「福業」となるようにいまからご家族の理解を得ながら進めていく事をお勧めします。

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