申し上げるまでもなく、コロナのパンデミックや直近ではロシアのウクライナ侵攻などは経済に大きな影響を与えます。

経済に大きな影響をもたらすと家庭経済にも影を落とします。

この2年あまり仕事を振り返り、キャリアを見直す動きが活発化していますが、サラリーマンから華麗な起業をして、失敗した例は枚挙に暇がありません。

また、起業に失敗したからといって、再就職先がすぐに見つかるほど甘くはないようです。

しかし一方で、世の中では自分の成功体験でこう語る起業家が実に多いのも事実です。

「生半可な覚悟で起業に挑戦するなんて論外。

オレの経験では、自ら退路を断ち、いちばん乗りを目指し、アイデアを絞り込んで本気で取り組まない限り、起業は成功しない」

しかし現実には、この言葉を額面どおり信じて脱サラ起業し、苦しむ人もいます。

成功した起業家の言葉を、真に受けてはいけません。「退路を断って起業しないと成功しない」というのは「都市伝説」と考えた方が良いと思います。

会社員は、脱サラして退路を断ち、起業に挑戦してはいけないという提言を目にします。

むしろ副業から入り、ゆる~く起業に挑戦すべきだと。

そこで、最近発刊された『世界の起業家が学んでいるMBA経営理論の必読書50冊を1冊にまとめてみた』から、成功確率を劇的に高める会社員の起業について解説します。

まずはこんな事例を紹介します。

組織心理学者アダム・グラントのもとに、学生が出資を求めてやってきました。

「友だち3人とメガネのオンライン販売を始めたいんです」

「じゃあ、この夏はその事業立ち上げに捧げたんだね」

「いいえ。失敗すると困るので、企業のインターンシップに行きました」

「ということは、卒業してから事業立ち上げに専念するんだね」

「いいえ。念のために、全員別の仕事に就きます」

聞けば4人が納得する社名を付けるだけで6カ月間かかり、ウェブサイトすら未完成の状態です。

「やる気もサイトもない。ダメだ、こりゃ」と考えたグラントは、出資を断ったそうです。

この会社は、その半年後の2010年に創業し20218月に上場、時価総額80億ドルに達したワービーパーカーです。

ビジネス誌『ファスト・カンパニー』の「世界で最も革新的な企業」で1位に選ばれました。

絶好の出資チャンスで判断ミスをしたグラント家では、その後の投資判断は妻がすることになったという逸話が残っています。

「なぜ彼らの成功の可能性を見抜けなかったのだろう?」と考えたグラントは、独創性をもつ「オリジナルな人」の研究を始めました。

そして起業にまつわる都市伝説を暴いたのが、グラントの著書です。

グラントによると、成功する起業家は後発で、リスクを徹底的に避けてアイデアの量で勝負する

本書はこのことを圧倒的な数の事例と研究で実証しています。

ここでは本書の3つのハイライトに絞って、紹介します。

① 急ぐな。「先延ばし」しろ

グラントは「自分は早めに仕事を仕上げるタイプ」と言っていますが、これは必ずしも正しい方法ではないと言います。

博士課程のある学生がグラントに「先延ばしするほうが創造的になるのでは」と言ったため、学生たちに新しい事業アイデアを考えさせる実験をしたそうです。

コンピューターゲームをやらせて課題を考えるのを先延ばしにさせたグループの提案は、ゲームをやらせず考え続けたグループよりも創造性が28%高かったという結果でした。

頭の片隅に課題を置いてゲームをすることで、意外な可能性まで考えが及び、おもしろいアイデアが生まれたと評価できます。

皆さんも考えが行き詰まると、作業をやめてまったく関係ない映画を観て気分転換すると、新しいアイデアが次々と湧いてくる経験をお持ちだと思います。

ワービーパーカーも同様に「メガネのオンライン販売は誰もやっていなので、先を越されないうちにすぐやろう」と考えがちですが、4人の創業者は焦らずじっくり時間をかけて何度も話し合いを重ねました。

アイデアを熟成させてリスクを下げたのです。

そうして彼らが話し合ったもののひとつが、ビジネスモデルです。

当初、彼らが考えていたのが「無料返品」。「オンラインでメガネが買いやすくなる」と考えでしたが、聞き取り調査で「無料返品では買う人はいない」という結果でした。

4人でさらに話し合い、思いついたのが「無料試着」。

顧客が自宅で数種類のフレームを試着して、ひとつ選び、試着したフレームを送り返して、選んだフレームにワービーパーカーがレンズを入れる、という仕組みでした。こ

れが好評を博し、注文が殺到して営業開始後48時間で販売停止になるほどでした。

さらに返却されたフレームは再利用できるので、購入後にレンズ入りフレームを無料返品されるよりも低コストになります。

ちなみに、多くの人は先発企業になりたがります。

つまり「イノベーター」「パイオニア」に憧れます。

しかし先発企業は不利であることは統計的に立証されています。

先発企業と後発企業で、失敗率の違いを比較した研究があります。

失敗率は、先発企業が47%、後発企業は8%。生き残った場合の市場占有率は、先発企業が平均10%、後発企業が平均28%。先発企業は後発企業よりも失敗率が6倍高く、生き残ってもシェアは3分の1に留まるという結果です。

起業で必要なのはいちばん乗りになることではありません。

市場の準備が整うのを待つ間に自社のアドバンテージを磨いておくことです。つまり「内容の濃いフォロワー」を目指すことがリスクを減らします。

② アイデアの不安に向き合え。リスクは徹底的に下げろ

「自信満々なのが起業家だ。彼らはどうも自信がなさそうだ。これはダメだ」

グラントがワービーパーカーに出資しなかった理由のひとつと言われています。

起業家は自信満々に見えますが、実は多くの場合そう見えるだけです

内心は不安と疑問でビビりまくっている。ワービーパーカーの4人は、単に正直だったと言えます。

不安には2種類あります。

「本当に私なんかが起業できるのか」という自分への不安と、「こんなアイデアで起業できるのか」というアイデアへの不安です。

大切なのは、アイデアの不安に向き合うこと。アイデアが不安なら、アイデアを突き詰めればいいのです。

起業一本に絞らないことも大事です。

ワービーパーカーの4人はインターンや就職でリスクを分散していました。

経営管理学研究者のジョセフ・ラフィーとジー・フェンは19942008年に起業した5000人以上のアメリカ人を追跡調査した結果、本業をもちつつ起業した人は、起業に専念した人よりも起業の失敗確率が33%低かったという結果でした。

リスクを避け本業を続けつつ、アイデアの疑問を追い続ける人のほうが、存続する可能性が高いと言えます。

経営学者の入山章栄氏は著書『ビジネススクールでは学べない世界最先端の経営学」(日経BP)で、スウェーデンの研究結果を引用し「会社勤務と並行して起業するハイブリッド起業は、起業リスクを軽減できる。

現代の日本は、脱サラして起業に失敗した人が再就職するのは難しい。ハイブリッド起業は、起業の失敗リスクを大きく軽減できる可能性がある」と述べています。

起業で大事なのはリスクを取ることではなく、リスクのバランスを取ることです

ある分野で収入を確保すれば、別分野で大胆にオリジナリティーを発揮する自由が得られる。

中途半端な状態で焦ってビジネスを始めるプレッシャーからも逃れられる。すぐれた起業家はリスクを冒す人ではありません。

リスクを取り除く人なのです。

③ アイデアの「質」よりも「量」で勝負する

もうひとつの成功のカギはアイデアの「量」です。

発明王エジソンの1000を超える特許には、電球・蓄音機・映写機など世界を変えた発明もありますが、フルーツ保存技術・おしゃべり人形・電子ペンなどイマイチな発明も多いのです。

エジソンでも現実には悪いアイデアばかりなのです。

天才といわれる創作者は必ずしもほかの人より創作の質がすぐれているわけではありません。

モーツァルトは600曲、ベートーベンは650曲、バッハは1000曲以上作曲しました。ピカソは絵画1800点、彫刻1200点、陶芸2800点、デッサン12000点を制作し、シェイクスピアは20年間で37の戯曲と154の短編詩を書きました。

これらの膨大な作品の中で傑作はごく一部です。

成功するためのカギ

天才でも自分で作品を正しく評価できないことが多いようです。

自分で「これは傑作」と自信があっても、世間が「駄作」と評価することは多いのです。

制作する本人は自作品の長所ばかり目につき、欠点を過小評価する傾向にあります。

これを確証バイアスと言います。

この確証バイアスから逃れる方法が、多作なのです。

まずは打席でバットを振ることです。

バットを振らないことにはヒットも出ません。

より多くの打席に立ち、より多くバットを振れば、三振も増えるがより多くのヒットやホームランも出るかもしれない。

そして人々が覚えているのは三振ではなく、ヒットやホームランなのです。

成功のカギは、急がず、リスクを徹底的に避けて、量で勝負することです。

安定収入を確保したうえでさまざまなビジネス経験ができる会社員の立場で、副業でじっくり時間をかけて起業に取り組むことこそが、成功への王道といえるかもしれません。

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