最近のTVCMで環境保護を意識した洗剤・消臭剤・自動車・コピーインクカートリッジなどの商品が目にとまるようになりました。

車でいえば今までもハイブリット車や自然素材の化粧品などが一定の市場を形成してきましたが、その軸となるのは環境保護の色彩よりもファッションを軸とした経済活動の色彩が強いものでした。

ここにきて、20201026日に、主要国の取り組みに同調する形で菅義偉内閣総理大臣によって行われた所信表明演説で、「2050年カーボンニュートラル宣言」が打ち出されました。

ちなみにカーボンニュートラルとは、製品が製造されてから廃却されるまでのCO2排出量と吸収量が、プラスマイナスゼロになることを意味します。

記憶に新しいところですが、昨年9月にNY出開催された国連気候行動サミットにおいてスウェーデン人の環境保護活動家のグレタ・トゥーンベリさん(当時16歳)が演説し、気候変動問題について「あなた方は、私の夢や私の子供時代を、空っぽな言葉で奪った」と具体的な行動を示さない各国首脳を非難しました。

“How dear you !!” (よくもぬけぬけとそんなこと言えるわね ‼)を連呼し、各国の首脳陣を非難したことは記憶に新しいところです。

その映像で印象に残ったのは、自分たちが痛烈に非難されているにもかかわらず、首脳の1部が拍手をした点です。

環境大臣レベルの意識の低さを痛感しました。

彼女の最近の動画投稿でも、その後の進捗を懸念する動画が配信されています。

脱化石燃料はシェールオイルの発掘で世界1位の産油国になったアメリカ経済にも大きな波紋を与えます。

言葉を換えれば、「アメリカへの経済包囲網」であり、「中東産油国経済への影響」であり、今後の各国の綱引きが加速する大きな潮流となると予想されます。

環境問題は全産業で取り組むべき事ですが、その中にあって二酸化炭素排出の主役になってきたのがガソリン車・ディーゼル車です。

トヨタ・日産・ホンダなど主要な自動車メーカーが挙って代替エネルギーを利用した車を開発しています。

最近では企業としての取り組みを少しづつ公開して期待感を醸成する「ティーザーキャンペーン」という手法を用いて「トヨタイムズ」CMが放映され、その中でも「新型MIRAI」を紹介しています。 

そこで今回は「新型MIRAI」についてお話しします。

まず、「カーボンニュートラル」の実現のためには、エネルギーや製品、サービスの製造過程や使う過程、使い終わって捨てる過程、そのすべてにおいてCO2を「出さない」「減らす」「回収して再利用する」ことが求められます。

トヨタは、そのために必要なクリーンエネルギーのひとつとして、「水素」に着目したわけです。

トヨタは水素の特徴を、「水素は使用時、CO2が一切発生しない」「水素は多様なエネルギーから作り出すことができる」「水素は、容易に貯める・運ぶことができる」の3つと定義しています。

社会の低炭素・脱炭素化に向けた水素利用がさまざまな形で進んでいる中で、小型高効率で生産性を追求した新型のFC(燃料電池)システムを開発したうえで、トラックやバスなど社会を支えるモビリティにも活用し、水素利用の拡大に貢献していくロードマップを策定し、水素社会の実現に向けた新たな出発点となるモデルを作り上げました。

新型MIRAIは、FCシステムをはじめとする水素関連技術の性能向上を目指し、乗用車だけでなく社会を支えるさまざまなモビリティ等への転用を前提に、開発されたモデルといえます。

初代MIRAIは、2014年に量産車として世界初のセダン型FCVとして登場しました。

自社開発のトヨタFCスタック・高圧水素タンクなどで構成された燃料電池技術とハイブリッド技術を融合させた、トヨタフューエルセルシステム(TFCS)を搭載。

3代目プリウスなどに採用された、FF方式のMCプラットフォームをベースに開発されました。そこから約6年の時を経て、2代目誕生につながります。

新たに「クラウン」や「レクサスLS」と同様となるFR(後輪駆動)のGA-Lプラットフォームが採用され、初代ユーザーからの1番の要望でもあった“航続距離の拡大”を実現させました。

新開発FCによる効率のアップに加え、水素タンクが3本に増やされるなど搭載できる水素の量を約20L増加させたことで、WLTCモードで約40%アップとなる航続距離850kmを実現し、実走行でも、東京から大阪までの距離を安心して旅行できるようになりました。

さらに、充填時間は約3分程度と、驚くべき速さとなっています。

スムーズでシームレスな走り出しに、ドライバーの意思に忠実で気持ちのいい加速感。街中など、頻繁にアクセルをオン/オフするような状況下でも、車両姿勢の変化を少なく制御することで、滑るような上質な乗り心地を感じられると言われています。

また、最適な前後バランスや高いボディ剛性により、意のままのハンドリングを実現しワインディングロードなどでも、ドライブする楽しさ、操る楽しさを存分に体感できる味付けとされました。

高速道路においては、直線安定性のよさからくる安心感と圧倒的な静粛性、包み込まれるようなシートのホールド感などにより、長距離ドライブでも疲れにくく、快適な移動をすることが可能としました。 

FCVならではの環境性能としては、ゼロ・エミッションにとどまらず、マイナス・エミッションを実現できることが挙げられます。

特殊なフィルターを採用することで、発電のために吸い込んだ空気からPM2.5などを除去して排出する空気清浄システムが搭載されました。

これは、アクセルを踏めば踏むほど、走れば走るほど、空気をキレイにする画期的なシステムといえます。

さらに、災害等や緊急時に活躍する機能として、2種類の給電機能が標準装備されます。

ハイブリッド車と同じく、家庭用電源がそのまま使用できる1500WAC電源に加え、初代に引き続き、FCVならではのDC大容量給電を可能としました。

この非常時給電システムは、一般家庭での約4日間の給電に対応可能でそうです。

また、全車に標準装備となる予防安全パッケージ「Toyota Safety Sense」も進化しプリクラッシュブレーキには、新たに交差点右折時の対向直進車や右左折時に前方からくる歩行者を検知する「交差点事故対応」、車道の歩行者に対して操舵アシストをする「衝突回避操舵支援」が搭載されます。

さらに、自動車専用道路での運転において、ドライバー監視のもと、実際の交通状況に応じて車載システムが適切に認知、判断、操作を支援し、車線・車間維持、分岐、レーンチェンジ、追い越しなどを実現する「Advanced Drive」搭載車も、2021年に発売予定となっています。

環境性能の最大化に加え自動運転支援が付加されます。

グレードは、標準的な「G」と本革シートなどが装備される上級の「Z」を設定。

それぞれのグレードで「エグゼクティブパッケージ」が用意されています。

エグゼクティブパッケージは、ショーファードリブンを想定した仕様で、助手席肩口パワーシートスイッチや可倒式の助手席ヘッドレスト、シートバックアシストグリップなどが備わるほか、リアドアトリムなどに吸音ファブリックが採用されており、後席での快適性向上が図られたモデルです。

Gには、「Toyota Teammate Advanced Park」などを装備した「Aパッケージ」も設定されます。

これは、ハンドル操作、アクセル、ブレーキ、シフトチェンジの全操作を車両が支援するとともに、俯瞰映像に車両周辺の死角や目標駐車位置などを常に表示し、安全/安心でスムーズな駐車を実現するシステムです。

ボディカラーは新規開発色を含め、全8色をラインナップ。

価格は「G」が710万円、同「A Package」が735万円、「Executive Package」が755万円、「Z」が790万円、同「Executive Package」が805万円(税込)。

ここに、エコカー減税や環境性能割、グリーン化特例といった税制面での優遇に加え、CEV補助金(クリーンエネルギー自動車導入事業費補助金)の対象となっていることから、最大で1419000円(Z Executive Package)の優遇措置を受けることが可能ですが、優遇措置を受けても600万円以上の価格になります。

また、水素ステーションの数は準備中も含め、全国で約157基(内計画中26基、20207月現在)と、まだまだ普及しているとはいいがたい状況となっているのも事実です。

今まで化石燃料や酸素を使い放題し、二酸化炭素を排出し放題だった人類が、環境変化にブレーキをかけるには大きな投資が必要なようです。