この時期になると帳簿をこまめにつけていなかった事を後悔している個人事業主の方々もいらっしゃると思います。

手元の領収書を日にち別に整理して記憶を辿るようでは、漏れも多くなり正確な財務状況を把握することは困難なだけでなく、本来所得を控除できる機会を逃しているかもしれません。

そこで今回はいよいよ2月16日から受け付け開始となる、確定申告に関して所得控除となる事例をお話ししたいと思います。

会社員でも申告すれば給与天引きされた税金が戻ってくるチャンスはいろいろあります。

「自分には関係ない」と決めつけず、受けられる控除がないかをチェックしましょう。

税申告は面倒くさいと思わず、「得するかもしれない!」という気持ちでお読みください。

現在はコロナ禍の最中で、緊急事態宣言下です。

そんな中「税務署は密になりそうで怖い」という心配は無用です。今や、パソコンやスマホでも申告できますし、AIが質問に答えてくれるサービスもあります。

2020年分の確定申告は、2021年2月16日から4月15日までとなっています。

確定申告は例年、同じ時期に約1カ月間行われますが、新型コロナウイルスの感染拡大により、期間が大幅に延長されました。

税金を取り戻すための申告(還付申告)は、1月1日から受け付けられており、2020年に納めた税金を取り戻すための申告は、2021年の1月1日から2025年12月31日までとなっています。

税金が戻るのは、医療費がたくさんかかった人、寄付をした人、住宅ローンを組んだ人、退職して年末まで再就職をしなかった人など、多くのケースがあります。

「難しそうだし、コロナで密になるのは嫌だし……」と思うかもしれませんが、それほど難しくはありません。

税務署に出向くことなく、郵送、インターネットでも手続きができますし、スマホでも申告できてしまいます。

税務署もネットやスマホなどでの申告を勧めています。

1月中旬からはチャットボットによる税務相談も始まりました。

パソコン、スマホ、タブレットで、「国税庁ふたば」で検索し、メニューから質問内容を選んだり、知りたいことを文字入力したりすると、AIの活用で回答が得られます。

確定申告は、「しなければいけない人」と、「申告するとトクする人」がいます。

しなければいけないのは、フリーランスや自営業者など、税の手続きを自分で行う人です。

会社員は勤務先で源泉徴収や年末調整をしてくれていますが、副業した人などは、場合によっては確定申告が必要な場合があります。

確定申告でトクする人とは、どんな人かというと、代表的な例は住宅ローンを組んだ人です。

年末のローン残高に応じて納めた所得税が還付される「住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)」が受けられます。

控除の内容は取得した住宅に住み始めた時期によって異なり、2014年4月~2020年12月31日までに居住した人は最初の10年間はローン残高の1%(一般住宅では最高40万円、一定の要件を満たす認定住宅では同50万円)となります。

このうち、2019年10月1日~2020年12月31日までの入居なら、11~13年目も、「ローン残高の1%」または「建物購入価格(消費税除く)×2%÷3」のいずれか少ないほうが控除されます。

ただし、所得が3000万円以下、住宅の床面積が50平方メートル以上などの条件があります。

所得税が控除される制度ですから、実際に戻ってくるのは納めた所得税が上限であり、控除額が40万円でも、納めた所得税が30万円なら、戻ってくるのは30万円までです。

会社員の場合、2年目以降は年末調整で手続きできますが、1年目は確定申告をする必要がありますので、しっかり手続きしましょう。

「住宅ローンを組んでいないから控除を受けられない」と思うかもしれませんが、そんなことはありません。

耐久性、耐震性、省エネ性能などに優れている「認定長期優良住宅」や、断熱性や二酸化炭素削減の基準を満たす「認定低炭素住宅」なら、住宅ローンを組んでいなくても、「認定住宅新築等特別税額控除」が受けられる可能性があります(住宅ローンを組んだ場合は、住宅ローン控除とのいずれかを選択)。

住宅を取得した人だけでなく、自宅をリフォームした人にも税金を取り戻すチャンスがあります。どのような控除が受けられるかは、どんなリフォームをしたかによって異なります。

まず一般的なリフォーム・増改築をして、費用が100万円以上、返済期間10年以上のローンを組んだ人は、前述の住宅ローン控除が受けられます。

また1981年5月31日以前に建築された、自身が住む家屋に耐震改修工事をした場合は、住宅ローン控除に加えて「住宅耐震改修特別控除」も受けることができます。

控除額は最高25万円(1年)です。

この控除はローンを組んでいなくても適用されますので、見逃さないようにしてください。

さらにバリアフリー改修・省エネ改修、多世帯同居リフォームを行った場合は、前述の「住宅ローン控除」、または「特定増改築等住宅借入金等特別控除」(5年以上のローン、工事費用50万円超、控除期間5年・控除額上限12万5000円)、あるいは「住宅特定改修特別税額控除」(工事費用50万円超、控除期間1年・控除額上限25万円。

太陽光発電設備工事では10万円加算)の、いずれか1つを利用できます。

医療費を多く支払った人は「医療費控除」を受けましょう。

1年間に支払った医療費から10万円を引いた金額が所得から控除されるものです。

医療費が年間30万円かかった人は、20万円(30万円−10万円)が所得から控除され、所得税の税率が20%なら4万円が戻ります。

昨年は新型コロナウイルス感染症の拡大により、収入が減ってしまった人も少なくありません。「

医療費控除は10万円以上医療費がかかった人」と言われることが多いですが、年間の給料が297万2000円未満(総所得金額等が200万円未満)の人は、総所得金額等の5%超の医療費がかかっていれば、医療費控除が受けられます。

総所得等金額等が100万円なら、5万円を超える医療費がかかった場合が控除の対象です。

医療機関に支払った医療費、医薬品の代金、通院のための公共交通機関での交通費などが対象になり、家族の医療費も合算できます。

離れて住んでいる親に仕送りしていて、その中から医療費を支払っている場合などは、その分も確認しましょう。

ただし、コロナ対策のためのマスク代は対象外です。

自己の判断で受けたPCR検査の検査費用も対象になりません。

検査の結果、「陽性」であることが判明し、治療を受けた場合には、対象となります。

医療費が10万円に届かなくても、健康診断や予防接種を受けた人が、「スイッチOTC医薬品」に指定された医薬品を1万2000円以上購入した場合、1万2000円を超えた分が所得から控除される「セルフメディケーション税制」が適用されます。

「セルフメディケーション税制」は2017年分の確定申告から始まった医療費控除の特例で、医療費控除と同様、超過分が所得から控除され、所得が減る分、所得税が安くなり、お金が戻ります。

会社員の皆さんの中にも「ふるさと納税」を利用している人がいるでしょう。

でも「寄付した自治体が5カ所以内なら確定申告はしなくていい」と思っていませんか。ここは要注意。

住宅ローン控除や医療費控除を受けるなどで確定申告をする場合は、「ふるさと納税ワンストップ特例制度」は適用されません

確定申告でふるさと納税について申告する必要があります。

自営業の人や、6カ所以上の自治体に寄付した人も、確定申告が必要です。

「コロナに関する活動を支援したい」などの想いから、公益団体やNPOなどに寄付をした人は「寄附金控除」が受けられる可能性があります。

「公益社団法人等寄附金特別控除」と、「認定NPO法人等寄附金特別控除」は、寄付した額から2000円を引いた額の40%、「政党等寄附金特例控除」は同30%が所得から控除され、所得が減る分、所得税が安くなります(寄付金額は総所得金額等の40%が上限、控除額は所得税の25%が上限)。

寄付した先が控除の対象として認定されている場合に限られるので、寄付先に確認してみましょう。

コロナ禍では、コンサートやお芝居、スポーツイベントなどの開催が中止になることもありました。

「うっかりしてチケットの払い戻しをしなかった」とか「主催者などを支援するため払い戻しを見送った」という人もいるようです。そうしたケースでも、寄附金控除が受けられるかもしれません。

対象になるのは、文化庁・スポーツ庁が指定したイベントについて、チケットの払い戻しを受けなかった場合。1万円のチケット代を払い戻さなかった場合、1万円を寄付したとみなされ、8000円(1万円−2000円)の40%が減税されます(住民税については自治体により異なる)。

対象になるかどうかは、文部科学省やスポーツ庁のサイトで確認できます。

2020年には「台風10号」や「令和2年7月豪雨」「千葉県東方沖地震」などの自然災害がありました。

住宅、家財、衣類などの生活必需品が受けた損害や、住宅の取り壊し費用などの災害関連支出などが控除される「雑損控除」が受けられます。

住宅や家財の時価の2分の1以上の損失があった場合は「災害減免法」という法律に基づいて税金を軽減、免除してもらえる制度もあります。どちらが有利かなど、専門家に相談してみるのもよさそうです。

そのほか、配偶者を亡くした人やシングルマザーやシングルファーザーが受けられる「寡婦控除」や「ひとり親控除」親や祖父母などを扶養している人の「扶養控除」など、年末調整で手続き漏れしているものがないかもチェックしてみましょう。

一見面倒な税申告ですが、昨年の自身の活動や実績を数字で振り返る良い機会ですので前向きにとらえてください。

 

「個人売買.com」ではこのほかに自動車税に関する控除事例や販売に必要は法知識なども会員の方々にセミナーでお伝えしています。

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